中野龍三Web

【突然の株価高騰】
　

今日、不動産業界の株価を見ていたら、五反田TOCを運営する株式会社テーオーシー（スタンダード・8841）が高騰していた。
１日で５％近い値上がりは尋常でなく、何か事件か、あるいは重大発表があった時が多い。

すぐに調べてみると、その原因が判明した。

【計画変更の発表！】
　

３月末で閉館となった「五反田TOCビル」の建て替え計画だが、今日（4月9日）のテーオーシーのIRにて、「計画を大きく変更する」発表があったのだ。
変更について大まかに記すと、以下の３点である。

● 新TOCビルの建て替え計画を見直す
● ９年先まで、閉館した現行のビルを残す
● 現行ビルは今年９月に「再オープン」を予定

何と、近々“取り壊し”となると思っていたTOCビルが残され、そのまま秋にもまたオープンという話であり、これはまさに“大転換”である！

３月末の閉館時に、事前告知もなく、「ずいぶん釈然としない終わり方をしたものだ」と思っていたが、このような計画が裏であったため、声高に閉館を事前告知して“完全終了イメージ”が付いてしまうのを避けた……というのが真相だろうか。

現行のTOCビルは、９月のオープン予定日までに、メンテナンスとリニューアルを行うという。

【ビルからマンションへ？】


なお、再オープンした現行ビルは「令和15年（９年先）の建て替えまでの使用を想定している」との発表だった。

またTOCは「新TOCビル（建設）計画に分譲レジデンシャル事業などを加えることを検討する」と発表。
これはTOCビルを上回る規模や内容の「新TOCビル」を建設するという当初の計画を見直し、ビル建設は未定とし、場合によっては分譲マンションを建てる可能性を示唆するものである。

この変更は、「昨今の建築費高騰」や「ビル賃貸市況」を勘案したということのようだが、ではマンションならいいのかと言われれば、微妙なところである。
現在、首都圏マンションの「初月契約率」は今年の２月に69.9％と、好況・不況の分かれ目となる“７割ライン”を下回り、こちらのセグメントも決して明るい未来ではないためだ。

そもそも新築マンションは、東京都内ではすでに供給過多である。
そのような状況でも、五反田という都心の超一等地を活かしたマンションなら、まだ“分がある”と踏んだのか。

もっとも詳しい計画は未定であり、「新TOCビル＋分譲マンション」なのか「分譲マンションのみ」なのかも不明である。
向こう９年の猶予期間で、魅力的な都市開発を期待したい。

［関連］五反田TOC、閉鎖確認　釈然としない終わり方
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