きてしまった事故】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

朝起きて、カブトムシの世話をしていると、メスのお尻に白いモノがくっついていた。
何だこれ、卵かと思って調べたら、「卵管」だと判明。

何でこんなのが体外に出たままになっているのか? しかも、メスはゼリーを食べながらも、どうも元気がなく、その後、土に潜ろうともせず、ケースの隅でずっとうずくまっている。

心配になり、さらに調べる──。
そしてこれは、交尾直後にオスが精管を抜く際に、誤ってメスの卵管ごと強く引き抜きすぎて、メスの卵管が体内に戻らなくなった「事故」だとわかった。

国へ】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

そしてさらに厳しい現実を知ることとなった。
こういうメスは、内臓を損傷しているので、もって2~3日の余命だそうだ。
なお、交尾直後にオスの精管がちぎれ抜けてしまう事故もあるそうで、その場合は、オスが死ぬことになる。

あんなに元気に動き回っていたメスが、今やほとんど動かなくなっている。
ゼリーを口元に運ぶなど、色々試したが、徒労に終わった。

メスは1日ともたず、亡くなってしまった。

葬式】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

息子(5歳9ヶ月)にメスの死を伝えると、「何で?」と訊かれたので、交尾の話はわからないだろうと思い、「病気で死んじゃった」と言うしかなかった。

●息子「メス死んじゃって、かわいそう……」
●自分「お葬式をしようか?」


息子にとって、ペットの死は初めてとなるので、この際、亡くなるとはどういうことなのか、見せておきたかった。
ティッシュペーパーを“死装束”に見立てて、メスの死骸を包んでやる。

り善く生きた】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

そして、小さな薬瓶の外箱を“お棺”にして、メスを納めた。
息子は一部始終、じっと見ていた。

非常に確率の低い事故であり、他のメス2匹が無事に交尾を終えたと見られるにつけ、このメスは運が無かったとしか言いようがない。

では、この死は無駄だったのかといえば、決してそうではない。
ケース内とはいえ、オスと出会い、卵を産むために交尾し、頑張って生きた。
ベストではなかったが、より善く生きたのは間違いないと思う。

なぜなら、人間にはもっと多様な生き方があるが、カブトムシの世界ではオスもメスも「交尾して子孫を残す」が唯一の生きる目的となるからだ。

実際、「交尾したメスはしなかったメスより早く死ぬ」とか「野外で捕らえたメスはほとんど“交尾済み”」といった専門サイト記事もあるくらいで、もしカブトムシに死生観があるとすれば、“卵のために命を消費する”ということなのだろう。

来世はカブトムシか人間に生まれ変わってほしいと願う。

たな生命】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。 クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

ふと、メスたちがいるケースの中を見たら、白く光るモノが!
どうやら、「卵」である。

壊されてはいけないと思って、新たに成虫がいないケースを用意し、孵化した時に見るため、卵をケース側面から見えるところに埋めた。

他のメスは交尾が成功したらしい。
卵は今後も採取し続け、孵化に努めたい。

日】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

一晩あけて、朝のうちに家を出る。
メスのことは残念だったが、気持ちを切り替えて、新しい「土」を採取しに行こう。

わざわざ、カブトムシを獲った公園まで遠出。

るいにかける】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

カブトムシのケースの土(マット)が古くなってきたので、新しいのを入れたい。
カブトムシの土は、クヌギの木の下の“腐葉土”が理想。

今回は変なこだわりがあって、大枚はたいてダイソーで「ふるい」のザルを買って、持ってきた。

みたい】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

せっかくなので、目の細かい「ふるい」にしよう。
土を入れて振ると、想像以上に細かくなった腐葉土が溜まっていく。

汗】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

……が、これが細い網目のせいで、何とも時間のかかることで!
延々と振っているので汗が止まらないわ、そのくせ終わらないわ……。

えろ!】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

自分がせっせと振っている50m先のグラウンドで、少年野球の練習が行われているのだが、コーチが延々キレていて、もう勘弁してくれと思う。

「何でワンバンのゴロがそんな捕り方なんだ! こういうやり方じゃないんか、もっと考えてやれよ!」

こんなのを延々聞かされながら作業するのがイヤなので、早く終えて立ち去ろうと「ふるい」の振り方を必死で考え、大量ではなく、少量の土を入れて早く振ったほうが、細かい土が早く手に入るのに気づいた。

あとこの腐葉土、カブトムシが好みそうな菌糸の匂いなのも実にイイって、ここ3ヶ月でえらくカブトムシに染まってしまった……いやねぇ。

さかのゲット!】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。 クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

細かい腐葉土をたっぷり手に入れたので、帰ろうとしたら、背後から子どもの声で「クワガタ見つけたッ!」。

何と、ここではカブトムシだけだなく、クワガタもいるのか!
クワガタも好きな息子にあげたかった……。

2匹目のドジョウならぬクワガタを探して、少し歩いてみたが、当然ダメである。

……え? 地面を何か歩いてる!
ふと脇道を見たら、何かいる。

これは、カブトムシのメスだ!
ウチで育てて逃したメスとは、少し形が違う。

昨日メスが1匹亡くなった寂しさからか、我慢できず連れて帰ることに。

の上】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

帰りの公園入り口付近で、カナヘビ発見。

宅】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

というわけで、「砂のような腐葉土」という怪しいRPGの素材みたいな土を大量に持ち帰る。

新たにゲットしたメスと、既にいるメス2匹を、砂腐葉土を入れたケースに移し、息子が可愛がっている最小サイズのオスにも砂腐葉土を与えて、別ケースに入れた。

何でこんな細かい土にしたかというと、この方が「カブトムシが潜りやすい」「フンを見つけやすい」「卵を見つけやすい」と、いろいろ利点がありそうだったから……という、自分の“単なる思いつき”だったりする!

菌糸の発酵も済んでいるので、栄養価もあり、木片や小石の抵抗もないので、カブトムシが無駄な体力を使って寿命を縮めたりしないし、卵から孵化したカブトムシ幼虫にも優しそうという“推測”に基づいている。


不可能を可能にする 大谷翔平 120の思考
(大谷翔平)


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