【子どもと遊ぶ時間がない】


妻子が長崎に帰省して、息子(4歳6ヶ月)は長崎ペンギン水族館を満喫したようだ。
世界最大のカメ「オサガメ」の剥製に乗るなど、羨ましい。
GWは子どもと遊べる貴重な時間。
普段は仕事と家事に追われて子どもと遊べる時間も少ない(※当然、自分の時間もない)ので、ありがたいのである。
【41年連続! 止まらない少子化】

しかし、このGW中・こどもの日の前に、悪いニュースが流れた──。
子どもの数が1,465万人と「過去最少」を更新、41年連続で少子化が進んでしまったのだ。
【子どもを育てながら生活する金がない】

男女共に、子どもを持たない40代が約3倍になり、少子化の原因だと指摘されている。
まあ、そうだろう、
正直、ウチでは子ども2人を育てているが、子ども手当てで賄えないほどに出費が増えている。
それは食費・光熱費や、子どもに係る雑費等のだけの話でなく、子育てする事で仕事を制限しなければならない「収入減」も大きく影を落としている。
自分がポイ活に必死になるのも、土曜にバイトに出るのも、株主優待を使って現金をセーブするのも、収入の埋め合わせや、この先、子どもが大きくなった時の支出激増に対処しているからである。
テレビを見ていると、「出産したら100万円」とか言っている者もいるが、馬鹿げた他人事思考である。
その100万だが、子どもが成人するまでの216ヶ月(18年)で割れば、ひと月4,630円程度だ。
こんなもの、焼け石に水だ。
何でそんな苦労をしないといけない? だから子どもなんて作らない、独身のまま、趣味を謳歌した方がいい……なんて言う人が続出するのは当然だし、そんな人々に子作りしろと促すのは、最初から“無理ゲー”なのである。
【子どもなど持ったら生活が破綻する】

次に示されたデータは、正規雇用と非正規雇用との間での、子どもの有無の確率差である。
子どもを持たない40代男性のデータでは、正規雇用など年収600万円以上は「2割」に対し、非正規など年収300万円以下は「6割」と圧倒的に多い。
データを素直に見れば、“子どもを持たない生き方が良い”など、単純に価値観の問題だけなら、割合は均等になるはずで、3倍差などにはならないので、結婚や子作りしたくてもできず、あきらめている層がかなりの数に上る事を示唆している。
【 非正規ベーシックインカムしかない】

政府の少子化対策は、全て、失敗に終わった。
企業に非正規の正規化など、賃金格差解消を求める努力義務の履行(消極的介入)は、ほぼ不可能である。
約400万社ある企業の中で、わずか1~2社がそれをやっただけでニュースになるくらいなので、賃金格差解消を民間レベルに任せる事の無意味さに早く気づくべきだ。
なぜなら、いまや「国力衰退の開始である悪い円安」が始まり、「スタグフレーションに移行」が完了したからだ。
これからそうなるのではない。
既にこうなったのだ。
このスタグフレーションで企業業績がさらに下がり、やむを得ず賃金カットに転ずれば、消費者の購買力が削られ、それに呼応した絶望的な値下げの末に一旦デフレに変化する。
しかし、それで国力衰退の問題が解決されたわけではないので、再びスタグフレーションに回帰し、ここで各産業は壊滅的打撃を受け、今度こそ修復不可能な極端な円安(対ドル200~300円)になる。
その一方で、生活コストだけは一人前にバカ高いので、屈辱を抱えながら中国資本に買収された日本企業で働くか、中国本土へ“出稼ぎ”に行く事になる。
これが10~20年後に起きる、もっとも悪いシナリオである。
もちろん、不確定要素が無数にあるのでそうならない事もあるが、超高齢化や20年後に1億人を割る人口動態を加味して、理屈で考えると、そういう未来も大いにあり得るという事である。
この現状を打破するには、何が何でも、少子化を解消するしか方法がない。
そして、具体的にどうすべきかという事だが、それは「非正規にベーシックインカムを付与する」という方法しか、もう残されていない。
正社員や自営業・無職は省き、非正規が働いている限り一時金でなく、ベーシックインカムという半永続的に収入の底上げをする事で、安心して子どもを持てる下地を整えるしかない。
これで政府が同じく綺麗事を並べ立てては、延々と失敗し続けてきた「同一労働・同一賃金」(働き方改革)の埋め合わせも利く。
どうせやったところで“ジリ貧になることが確実な事”に、ジャブジャブと赤字国債を財源を無視して使っている現状ならば、むしろこの「国力を確実に回復させられる政策」へ優先的に使うべきだろう。
もっとも、実行力がなく、さらに「今さえ良ければいい、己れさえ良ければいい」が蔓延している国会議員が、こんな思い切った事ができるとは思えないのだが。