※2014年1月25日の日記です。
【今日・25日の土曜は】

いよいよ井の頭池の水がカラッポになる頃である。
先日は井の頭池で廃棄された自転車が大量に引き上げられた話をしたが、今回も何か見つかるのだろうか?
今日も昼過ぎに来てみたら、やはりというべきか、水はほとんど抜かれ、池の底が丸出しになっていた。
【再び不法投棄があらわに】

井の頭池は30年位前に“ヘドロすくい”はした事があったが、今回のように池の底が見えるというのは今までなかったので、それを見ようと大いに見物人やマスコミが集まっていた。
ただ、水を抜かれた事で井の頭池はプーンと“ヘドロ臭”が漂っていて、また、橋のど真ん中あたりから、前回引き上げられなかった自転車が見つかっていた。
・「何でこんな所に自転車捨てるの?」(40代・妻)
・「酔っ払った人がウワァーッと…!」(40代・夫)
・「ここで溺れたくないね」(70代・女性)
【ここに…】

「スーパーのカート」を捨てるシチュエーションが分からない。
【しかし今日は】


何と言っても、池の水の残った場所での「生き物捕獲作業」の日である!
「かいぼり隊」でない一般人でも、希望者には胴長や長靴が貸し出され、隊員として池のヘドロに潜んだ魚やカメを獲ることが出来るのだ。
【13時から】

「かいぼり隊」池に突入!
【わずかに残った池の水は】

ヘドロまみれなので、獲物を目視して獲ることは不可能、波紋を察知するか、闇雲でも網を突っ込んでいくしかなさそうで、見ていて大変だ。
ただ、コイなど“大物”がかかるたびに、ウォーッと歓声が上がっていた。
・「取れたー!」(隊員・8歳位・女性)
・「滅多に居ないんだよー、ニホンタニシ」(隊員・60代・女性)
【さらに、池の南端にて】

“大規模作戦”が実行された!
タライ並べて「壁」を作り、さらなる池の奥に追い詰める!
【一方で】

舟を浮かべて「壁」から逃げてきた魚を投網で捕獲という作戦だ。
…投網は失敗した。
【作戦2】


しかし、失敗は織り込み済み…とばかりに、タライ部隊はさらに前進、魚を追い詰めていく。
そこへ再び網を放つと、今度は成功、外来種のオオクチバスがかかった!
【ついに、池の奥まで到達】

ここまで追い詰めて、舟からの投網はまた失敗!
しかし周囲の隊員が手持ちの網でゲット。
これぞ、チームプレイ…!
ちなみにかかったのは、ややレアな「ゲンゴロウブナ」だった。
・「お父さん、想像以上に頑張ってる…カッコイイ」(50代・隊員妻)
・「何か凄く非効率な方法でやってるように思わない?」(30代・女性)
【大規模作戦は】

1時間足らずで終了、その後は局地戦が展開されていったのだ。
【一方、フジテレビは】

全力でマイペース。
迷惑行為を笑いに変えようというセンスは、ちょっと付いていけないな…。
【対岸のテントに行ったところで】


ヘドロにまみれたコイがリヤカーで運ばれてきた。
【ここには隊の本部があり】


運ばれてきた魚やカメなどの生物を“仕分ける”のだ。
つまり、「日本固有種」と「外来種」にである。
【仕分け作業の一方で】

今日捕まえた「日本固有種」と「外来種」の生物をそれぞれ展示していた。
ごく一部とはいえ、いろんな生き物がいるようで…。
【日本固有種(1)】

「ギンブナ」と「ナマズ」はOK。
【日本固有種(2)】

「モツゴ」と「ヌマチチブ」(ダボハゼ)もOK。
【日本固有種(3)】

「テナガエビ」もOK。
【驚いたのが】

「イシガメ」である。
クサガメはともかく、イシガメがまだ居た事に驚きだった。
イシガメはキレイ好きのカメで、汚い池や川には馴染めない。
自分も以前、和歌山の紀の川で獲った事があったが、あそこもキレイな川だ。
少なくとも、こんなヘドロの中から出て来るようなカメではない。
「よく汚毒で死ななかったな」…それが自分の第一印象だった。
【甲羅を見たところ】

30年ほど生きてきたメスのようだが、ところどころが欠けてボロボロになった甲羅が、四半世紀ただひたすらに耐えてきた事を物語っているように思えた。
【あと】

スッポンが50cmもあってデカイ、ここまでのは初めて見た!
…という事より、池で捕獲作業をした隊員には“子供”も居たが、噛まれなくて良かったという話だ!
正直これを見た時、冷や汗が背中をサーッと走っていった。
【こっちは】

外来種でアウトのモノ。
池には戻さないで、駆除する事になる。
とりわけ「オオクチバス」と「ブルーギル」は“特定外来生物”として、他の河川や池に放すことが禁じられている種類だ。
【外来種(1)】

アカミミガメ(ミドリガメ)が外来種なのはわかるが、「クサガメ」が外来種扱いなのには驚いた。
・自分「クサガメは固有種では?」
・隊員「いえ、厳密には外来種扱いです」
・自分「ではクサガメも駆除して池には戻さない?」
・隊員「一応、今回は戻します」
どうやらクサガメだけは、長年固有種として扱われてきたため、首の皮一枚で助かったようだ。
【意外や意外】

「ギギ」と「ゲンゴロウブナ」が“外来種扱い”にされている。
いずれも日本固有の魚のはずである。
隊員に聞いてみると、「国内の外来種という扱いです」という話。
「ギギ」と「ゲンゴロウブナ」は近畿から西日本に棲んでいた魚であり、それが関東の池にいるのはおかしい…という解釈でアウトなのである。
なお、固有種については今後、生簀に一度保管してから池に戻すのだそうだ。
【腹を裂かれた外来魚】

別の場所ではオオクチバスが早くも始末されていた。
腹の中から在来種のテナガエビが出てきて、外来種が日本固有種を“現在進行形で”捕食しているという事実を見せつけられた。
・「コイも処分しちゃうのかしら?」(60代・女性)
そういえば、コイはどうなるのか?
近くの隊員に聞いてみた。
「コイに関しては、錦鯉みたいに色が付いているのは外来種扱いで、真っ黒の真鯉は固有種として残します」(隊員)
【オオクチバスの口の中を】

隊員が見せてくれた。
性格はすごく獰猛、口の中に無数の“かえし”が付いていて、あっという間に日本固有種を食い荒らしてしまう生物だ。
【ヘドロの行方】


井の頭池の近辺に住むとみられる古老が若夫婦に“ヘドロと水草”の話をしていた。
・「日本固有の水草が種付けるでしょ、その種が水が汚いなと思うと“寝ちゃう”ワケ、そうやって何十年もヘドロの中で寝てる種をヘドロごと乾かして濾して、さらに水に戻すとその種が生えてくる場合がある」(80代・男性)
傍らで聴いていてなるほどと思ったが、でも、ヘドロが回収されて廃棄されたら、種も死んじゃうのでは?
これも近くにいた隊員に事情を聞いてみた。
・「ヘドロは今回は天日干しするだけで、除去はしません。ヘドロは日光と乾燥でキレイになったと見なし、また水を入れます。一応今回は初めての作業なので除去はしない方針です」(隊員)
良かっタネ!とまでは言わないが、まあ良かったとは思う。
ただ一方で、ヘドロを除去しないで井の頭池の「富・栄養化」は解消されるのだろうか?
というのも、現代の井の頭池は、大昔のような“湧き水”が止まってしまい、汚物が溜まりやすくなっているのだ。
ただ、隊員は「今回は…」「初めてなので…」と断っていた。
もし今回の作業で水質汚染が改善されなければ、結局はヘドロを取る事になると思う。
・「ヘドロは天日干しするって言うけどさ、まどろっこしい事してないで、パワーショベルで掻き出しちゃえよ!」(50代・男性)
案外、この池の浄化プロジェクトは一筋縄ではいかないかも知れない。