TV局別! 35歳結婚サギ女がなぜ実名報道されないのか、を聞いてみた

2009年11月6日の日記です。

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 現在、世間を大騒ぎさせている 「34歳結婚サギ女」 のニュースだが、なぜ実名報道されないのだろうか?

 それでいろいろ調べてみるも、なかなか要領を得ない。

 それなら自分で直接TV局に聞いてみようと思って、すぐに電話した。
 以下、TV局別の回答である。

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 HK】
 まずは “皆様のNHK” 。
 皆様らしい、偏りない回答をいただきたいところ。

 《回答》
 4人の男性の殺人の疑いがあるものの、
 現時点ではその容疑 (殺人) で逮捕されておらず、
 別件の結婚サギ (詐欺罪) で逮捕されていますので、
 写真や名前の報道は控えております。
 今後証拠が集まり、殺人容疑で再逮捕されれば実名報道に切り替えます。


 …なるほど、NHK職員の丁寧な受け答えに感心しながらも、“実名報道する基準” が分かって良かった。


 【TS】
 次はTBS。
 今期 “初の赤字” となってしまったが、頑張ってほしいところ。

 《回答》
 結婚詐欺で逮捕されているものの、
 もう一方で複数の男性が死んでいるということもあり、
 実名報道には慎重になっています。
 もちろん結婚サギのみの事件だったとしても実名報道は出来るのですが、
 今回は複雑な事件というのもありますので、
 殺人容疑で逮捕されない限り、匿名にしております。
 この件は、非常に判断が難しいところです。


 …やはりNHK同様、詐欺容疑のみの逮捕で、複数男性の怪死問題が片付かない以上、実名報道は厳しい、とのことだ。

 だがここで疑問も出てきた。
 電話の内容では 「結婚サギのみの事件なら、実名報道もできた」 とある。
 なのに殺人で逮捕されない限り、実名報道しないという。

 自分は、結婚サギ女が詐欺で逮捕されている以上、詐欺の部分のみで実名報道してもいいと思うのだが…その辺がイマイチ理解できなかった。


 本テレビ】
 だが、次の日テレの電話で、その匿名措置が分かるような気がしてきた。

 《回答》
 現在、結婚サギで逮捕されてはいますが、
 それが安易に殺人と結びつかないように配慮して、
 匿名報道にしています。
 今後殺人で逮捕されれば、実名報道します。


 …実名報道しないのは、まだ殺人犯と決まったワケないためで、下手に 「こいつが殺人犯か!」 というイメージを視聴者に与えたくない、ということだ。


 【テレビ日】
 ここも日テレ同様の回答だったが、内容は報道寄りだった。

 《回答》
 
現在の報道は、殺人に関する報道となっていますが、
 現時点での容疑は詐欺罪のみ
となっています。
 報道内容が詐欺のみであれば、実名報道しますが、
 そうでないので匿名にしております。


 …つまりニュースやワイドショーなどで、34歳女の詐欺の手口よりも、練炭で自殺に見せかけて殺害した可能性など、内容が 「殺人にかかわる報道」 がメインであるため、殺人で再逮捕されるまでは匿名にする、ということだ。

 なるほど、と思った。 ただ一つ疑問だったのは、よく各局ともども、見事に統制がとれたように匿名報道が出来たな、ということだ。
 それこそ1社くらい実名報道に踏み切ってもおかしくないではないか。


 【テレビ京】
 それは突然、このテレ東の回答から、判明してきたのだった。

 《回答》
 警察からこれ以上は報道しないでくれという 「報道規制」 がかかっている
 ものと思われます。


 …何と、「報道規制」 という言葉が飛び出してきた!
 さらに聞いてみた、
 「“思われる” というのは憶測ですか? それとも事実ですか?」 と。

 すると突然、態度が一変し、

 《回答》
 あなたは何を聞こうとしているんですか? 目的は何ですか?


 …と逆に聞いてきた。

 全く不審者扱いかよ…いやそうかも、と思いながらも、「なぜ匿名かを知りたいだけです」 と答えるも、それ以上は教えてくれなかった。


 ジテレビ】
 だが最後のフジテレビが、この決着をつけてくれた。

 《回答》
 我々TV局では、
警察から頂いた情報を使用して放送しています。
 なので勝手に実名報道するわけにはいきません。


 …ついに 「報道規制」 を認めたのだ!
 というのは、文脈から分かる。

 主語が 「TV局」 であることから、「勝手に…」 の対象は、局の上司では決してなく、もちろん視聴者というのも的外れである。
 明らかに対象は、「警察」 を指している。

 したがって、「報道規制」 を認めたといえるのである。

 さらに念を押すように、明らかに無駄な質問を投げかけてみた、
 「…ということは、警察から実名報道するな、ということですか?」 と。

 《回答》
 それについてはお答えできません。


 やはりそうだったのか、と思った。
 どうやら知らず知らずのうちに、自分は “核心部分” に触れてしまったようだ。
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 まあ確かに、「今、我々TVは警察から “報道規制” されています」 なんて、わざわざ言わないだろう。
 仮に言うとしても、それはサギ女が殺人か死体遺棄で逮捕された後に、事後報告として言うのが通例だろう。

 これで 「みのもんたの番組」 で、
なぜ実名報道できないのかという質問に答えるTBS解説委員の回答が要領を得ないものになった のも、合点がいく。

 なお、「NHK~テレビ朝日」 までの回答が 「報道規制」 に触れていなかったものの、視聴者にはこう答えろ、と警察に指導されているのではないか、とも推測している。

 いずれにせよ、サギ女が殺人で逮捕されれば、この辺のことも明るみに出ることだろう。


≪関連記事≫
第二の34歳女事件? 鳥取でも男性不審死 ―― 35歳女が詐欺で逮捕
「結婚詐欺」 女の写真と実名 新潮が報じた 「素顔」 とは

史上初!? シューティングゲーム・TV番組が始まる!

2009年3月9日の日記です。
 現在の情報ではありません!




【新番組】
シューティングだけを放送し続けるCS放送
『シューティングゲーム略軍団参上!』
(放送局:モンド21 ―― スカパー279ch、CATV、J-COMにて視聴可)


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 このたび、CS放送 「モンド21」 (※こちらでの発表はまだです。当HPが最初の告知です) にて5月から、シューティングばかりを紹介するTV番組 『シューティングゲーム攻略軍団参上!』 が始まります。

 1時間番組で1タイトルのシューティングゲームを “実演しながら” 扱うもので、まず最初の数分でゲームの簡単な紹介と、実演プレイヤーの紹介を行います。

 その直後にゲームの攻略を実演でそのまま放送、プレイ画面をメインに、実況・解説つきでお送りします。
 したがって、クリアまで50分くらいのゲームだと、ノーカットでお送りできるかと思います。
 (※なお、実演プレイヤーは、そのタイトルごとにトップクラスのプレイヤーが担当)

 ゲーム番組では異例の、シンプルかつ、“かなり硬派” な内容となっております。
 また、シューティングをレギュラーで1クール扱う番組自体が “史上初” かも知れませんので、是非ご期待ください!

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 ◎ 『シューティングゲーム略軍団参上!』 ◎

 【放 送 】 2009年5月~11月(全13回)
 【放 送 間】 未定(60分番組)
 【 況】   北本かつら(放送作家)
 【解説/番組修】 中野龍三(プロゲーマー)
 【プデューサー】 小林三旅(株式会社サンド) / 宮本訓志(モンド21)
 【放 送 】   モンド21



 ※視聴方法は、スカパーが こちら 、J-COMが こちら
  CATVの場合は、 こちら 、なお 各種ブロードバンドTV でも視聴可。

──────────

 概要は以上です。

 放送日時が5月中のいつなのかなどなど、一部未定の情報もありますが、追加情報は随時当HPで告知していきますので、今後もご注目のほど、よろしくお願いします!

 さて、番組の収録に関してですが、最初の収録は 「4月」 を予定し、収録場所は、「高田馬場ゲーセン・ミカド」 を予定しています。

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 「高田馬場ゲーセン・ミカド」 は、「新宿ゲーセン・ミカド」 の移転先として新規オープンする店舗で、店内 “イベントスペース” での収録を予定しています。
 ※追記(09.04.08) 最初の公開収録は、「新宿ゲーセン・ミカド」 に変更となりました!

 さらに、「公開収録」 となる見通しですので、是非足を運んでみてください。


 なお、第1回・第2回については5月放送予定で、ゲームタイトル・プレイヤーは以下の通りです。


【第1回 : 『電IV』(AC版) 】

 硬派な縦画面シューティング 『雷電IV』 の魅力を “両手プレイ” で実演!

 “両手プレイ” とは、左手で1P側の自機、右手で2P側の自機をそれぞれ同時に操作するという 「離れ業」 で、一見の価値アリです!

 
 服部さんは、『ギガウイング2』 や 『雷電III』 などの “両手プレイ” で全国TOPを獲得する傍ら、『ぷよぷよフィーバー!』 などパズルゲームのジャンルでも全国TOPとなっているプレイヤーさんです。

 また最近では、「ぷよぷよの実演」 などで、TV出演も多数果たしていらっしゃいます。


【第2回 : 『ライアスII』 (2画面Ver.) 】
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 89年に発売され、根強いファンの多い横スクロールシューティングです。

 そして当時、マニアの間で噂されたのが 「ヤマト稼ぎ」 という技で、実際にそれを見た者はごく一部という妙技でした。

 果たして 「ヤマト稼ぎ」 とは何か? 実際に見られるか・・・? クリアと共に、その再現を目指します。

 

 ・・・以上2回分の収録は、4月を予定しており、詳細は後日当HPにて発表します。



 以下に、よくある質問を紹介しております。

 
 Q : 「モンド21」 1チャンネルのみの視聴は可能ですか?
 A : 「スカパー」 にて525円で視聴できますが、別途410円の基本料金がかかり、
    月額料金は935円となります。なお、チューナーやアンテナ (※有料) が必要になってきます。
    ただ長い目で見ると、スカパーが一番安いかもしれません。
    また、「J-COM」 では必ず4000円台のパック料金になるため、出来ません。
    「各種CATV」 は、地元のケーブルTV局にお問い合わせください。

 
 Q : 『HellSinker.』 や「東方系シューティング」 といった “同人系STG” は扱うのでしょうか?
 A : プレイヤーさんや著作権などの条件がクリアできれば、普通に扱います。

 Q : 実況の 「北本かつら」 さんとは?
 A : 北本かつらさんは、『トリビアの泉』 や、『クイズ!ヘキサゴン』 など、
    数々の人気番組を担当された放送作家さんです。
    実はゲーム好きの方ということで、実況をお願いしました。
    ただ実況内容はライト向けで、マニア向けの情報は、解説者が担当します。

 Q : シューティングはアーケードのみの紹介ですか?
 A : シューティングなら何でも紹介する方針となっております。
    なのでアーケードのみならず、ファミコン、メガドライブ、PCエンジンなど、
    広く扱っていければ、と思います。

 Q : プレイヤー、実況、解説以外に出演者はいますか?
 A : 放送回によっては、スペシャルゲストが来るかも知れません。

 Q : 収録はいつやりますか?
 A : 近いものから随時決まっていきますが、基本的には 「放送1ヶ月前」 です。
    収録日が決まれば、当HPで告知する予定です。

 なお、番組に関するご質問は こちら まで! (※メールが開きます)
 よくある質問は随時ここにてUPしていく予定です!


 今後も続報が出るたびに報告していきますので、よろしくお願いします!


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<おまけ>
番組企画から放送定に至るまでの日記


※以下の日記は、“自分視点” のものです。 ご了承の上、お読みください。


【#1:ボツなることがされないミッション】

 シューティング業界やプロゲーミングに関して1年以上前から、自分は更なる何らかの企画を考えねば、と思っていた。
 現在シューティング業界は低迷し、プロゲーミングについても行き詰まりを感じていたためだ。

 そんな時、CS放送にてシューティングのTV番組を制作する計画が上がっているのを聞き、もしそうであれば、ゲーマー中心の番組にならないか、アプローチすることにした。

 製作プロデューサーと直接会い、幸いなことに、もともと一緒に仕事をしていたこともあって、意気投合。この路線で企画を考えてくれることになった。

 ただし、番組の企画が上がれば必ず採用されるという訳ではない。ボツとなることだってあるし、いやむしろ、そっちの方が大多数かも知れない。

 実際これまで、自分にオファーが来たものの、実現できなかったTV番組企画は、他にもあった。

 1つは 『スーパーマリオ』 の最速クリア番組の監修で、もう1つは、「しょこたん」 とゲームの対戦をするという番組だ。

 いずれも “諸般の事情” というやつで、ボツとなった。そして、まあ仕方ないと思った。

 しかし、今回やる 「シューティングの番組」 は “仕方ないなど論外” で、ボツなることは決して許されないような気がした。

 それは、自分が10数年にわたってシューティング界に身を投じてきたからというだけでなく、先述の通り、この番組の主人公が、クリエイターでもタレントでもなく、長年水面下において人生削って頑張ってきた “ゲーマー” だからである。

 今までそこにスポットを当てた番組は極めて少なかったし、1シーズン通しての番組ともなると、ちょっと記憶にないほどだ。

 だからこのチャンスを逃せば、次のチャンスが来るのはまた10数年後かも知れない。そう思うと身を挺してでも、これを成立させねばならないと思った。


【#2:々とした日々を過ごす】

 ・・・とはいってみたものの実際のところ、どうやってこの極めてニッチで、一番ボツになりやすいといわざるを得ない 「シューティング」 の企画を確実的に成立させるか?

 それが非常に悩ましいところだった。

 文字通り数ヵ月にわたって悶々としていて、当時財政的に厳しかったことから派遣社員などもやっていたが、こんな状況ではなかなか集中できない。ボーッとすんなよ馬鹿野郎!と年下の上司に耳元で囁かれた日もあった。

 だがやがて、1つの作戦をやっとのことでひねり出し、これに全てを賭けようと決意した。


【#3:自分が昨年、ミカドでイベントを開催した “当の理由”】

 昨年初秋、新宿のゲーセン 「ミカド」 さんから、自分 (中野龍三) 関連のイベントをやらないか、と持ちかけられた。

 正直どうしようかと思った。

 ・・・というのは、スコアラーとしてプレイしたり、歴史を語らせるなら、もっと凄いプレイヤーや古いプレイヤーを呼んできた方がいいと思ったし、ゲーム攻略DVDを販売する企業を興していたが、ゲーム業者としても駆け出しであったため、イベントにおいて観客を満足させるほどの “ふくらみ” が生じるのか? という素朴な疑問があったからだった。

 なので、もっと他の有能・有力な人にお願いしてください、と断る予定だった。

 だがあることを思いつき、一転、オファーを受けることにした。

 それが、このイベントにて自分がシューティングを “実演プレイ” することだった。

 これまでシューティングの番組案は当然のことながら、企画書・・・つまり “文書” で提出している。
 もしこれがバラエティ番組やトレンディドラマの企画なら、類似番組が無数にあり、出演タレントの履歴も明らかだから、文書レベルでもイメージが伝わりやすい。

 しかし、ゲームの番組は先述の通り、ニッチであり、さらにシューティングとなれば、過去に番組があるかどうかすら分からないようなマイノリティなジャンルとなる。

 “文書” で企画を伝えることには、既に限界があったのだ。

 だがそこへ、イベント開催の依頼が来た。
 そこで自分は、このイベントそのものを企画書にすることにした。

 つまりこのイベントを成功させ、その映像を収録し、“映像媒体としての企画書” を作成して放送局に送る、という寸法だ。
 (自分が映像会社をやっていなかったら、気づかなかったかも知れない)

 イベント当日に来られた方の中には、なぜ会場にマスコミがいるのか、気になった方もおられたかも知れないが、まあそういうことである。
 製作側のプロデューサーに撮影を頼んでいたのである。

 当日は、衆人環視の下でプレイすることへの緊張というより、ここでしくじったら全てが終わる・・・という恐怖から、胃がキリキリ痛んだ。
 あろうことか、心の片隅で逃げたいと思ったほどだ。

 だが腹を括ってやった結果、幸いにもほどほどに上手くやることが出来た。
 (成功とまではいきませんでした。今後、精進します)

 後日、自分達は放送局の会議室で映像を再生し、プレゼンを行った。

 局サイドの反応は、感想を聞かなくても分かるほどに明らかだった。
 初めてこれならいける、と思えた。

 結果、ここから話が急に進み始め、年明け早々、ついに番組化が正式決定された。
 どれだけマニアックな内容でもいい、という局からの “お墨付き” まで貰えた。


【#4:プレイヤーさんとの交

 というと大成功と思われるかも知れないが、実はここからがまた、厳しかった。

 ただ幸いなことに、この頃には既に、サブプライム不況などとは全く別の “諸般の事情” というやつで、派遣をサクッと切られていたので、こちらに費やせる時間をたっぷりと取れる下地が出来上がっていた。残念ながら、幸せだと思った。

 だがその幸せは長くは続かなかった・・・というか、一瞬で消し飛んだ。

 扱うゲームタイトルごとの著作権の使用許可交渉はさほどでもなかったが、実際にプレイしていただけるプレイヤーさんを募集する段になると、まさに深刻だったからだ。

 最初は、自分がやったことのないシューティングを練習し、2週間ごとにプレイしてクリアできるかどうかを収録する番組案も出ていたが、結局ボツになってしまった。

 自分なんぞより、該当ゲームを深く遊んできたプレイヤーさんを呼んできた方がずっと素晴らしく、視聴者にとって有用だからであり、自分もまさにその通りだと納得している。

 だがそれは、毎回の放送ごとに、プレイヤーさんに出演を依頼して回るということを意味する。それは楽な話ではないのである。

 このシューティング業界において、余程の特別な例が無い限り、TVに出るなどというシチュエーションは、これまでほとんど考えられなかったことだからである。
 普通に来たら (いや、来なくても) 面食らう話だ。

 だからこういった交渉は、断られることありきであり、実際あるゲームタイトルなどでは、10人近くの方に辞退されるということもあった。

 だからといって企画が決定した以上、今更あきらめることなど許されない。ただでさえ 「やっぱり辞めますわ」 、が一切通らない業界である。
 (まあもっとも、そんなことをいう気も毛頭ないのだが・・・)

 当然のことながら、地道にあたっていくしかなかった。
 金銭的にも厳しくなってきたので、電車を控え、自転車を使うことにしたため、週あたりの走行距離は130キロを超えたこともあった。

 またこの頃、方針などについて、製作プロデューサーとも何度も衝突を繰り返した。
 全体的に、ストレスが溜まっていた。

 しかし、徐々にではあるが、協力してくれるプレイヤーさんや関係者の方が現れ、現在10タイトルまでゲームおよびプレイヤーを決定することが出来た。
 こればかりは本当にありがたいと思った。

 ご承諾くださったプレイヤーの皆様には、この場を借りて、心からお礼申し上げます。


【#5:竜王は生きていた ~素晴らしき演者~】

 実況を担当することになるのは、先に紹介したとおり、「北本かつら」 さんという放送作家の方だった。

 この共演者選定については、自分はタッチしていなく、比較的早くに決まった。
 自分は、お笑い芸人が来るのかと思っていたのだが、とんだ変化球だ。

 しかし、北本さんがゲームを愛し、またトークも素晴らしいことを知って、なるほど、と思ってしまった。

 また30代~40代の読者の方には、北本さんは懐かしい存在かもしれない。

 元々、「週刊少年ジャンプ」 の “ジャンプ放送局” にて、『竜王は生きていた』 名義で連続優勝までして話題となった方で、その後TV業界に転進、『トリビアの泉』 や、『クイズ!ヘキサゴン』 など、数々の人気番組を手がけているほどの才能の持ち主なのである。

 だから、この方がどんな実況をしてくれるのか、非常に楽しみである。


【#6:だスタートラインに立ったに過ぎない】

 さて、先の 「番組概要欄」 において、自分に “プロゲーマー” という肩書きが付いていることに気づかれた読者の方も多いと思われるが、実は自分から名乗ることは、これが初めてとなる。

 正直、これまでプロゲーマーと自分から名乗ることに、消極的だった。
 その定義について、自分の中で完全というまでには定まっていなかったからである。

 しかし、この番組を担当することになってから、“自分の肩書きの貧弱さ” に今更ながらに唖然とさせられた。

 「社長」 というほどの実績はないし、「スコアラー」 はそもそも職業を指す呼称ではない。
 北本さんは、「放送作家」 として輝かしい実績を上げておられる。他方、自分には情けないことに、何も無い。

 そもそも自分はこれまで職を転々として、一つの職場で何年も勤め上げた、ということが全くもって、ない。

 そんな自分に対して、局からは 「プロゲーマー」 でお願いします、とのことだった。
 正直、遂に来たか、と思った。

 そして実際のところ、10年以上も1つのことに懸命に打ち込んだといえるものは、もはやゲーム・・・さらにいうとシューティングのゲーマーとしてでしかなかった。

 今回プレイヤーさんに実演してもらうからといい、自分は解説や監修に終始するかといえば、そうではない。

 番組で扱うゲームタイトルによっては、自分が関わっていないようなタイトルもかなりの数ある。

 これらタイトルに対し、一部はマニアを満足させるように解説し、一部はライト視聴者向けに “翻訳” して北本さんに伝えねばならない。

 それを忠実にこなし、かつ臨場感・質感と共に、古い世代の方、新規参入の若い方双方の時間軸に対応出来るだけの幅を持たせて伝えていくには、もはや担当する全てのゲームを自らプレイして、それぞれのゲームを検証するしかない。

 単にプレイヤーさんへの取材だけなら、新聞記者でも出来る。

 だから自分は、仕事としてゲームをするという道を選んだ。

 仕事としてゲーム・・・そういうとつまらなさそうに聞こえがちだが、今までで一番やりがいを感じているし、ワクワクしている。その辺は他のプロスポーツ選手と心的事情は同じかと思っている。

 ただ唯一の苦痛があるとすれば、自分がこれまで10年以上もやってきた 「スコアラーとしての活動」 が出来なくなるかも知れないということだ。

 しかしこれも、会社を興した頃から分かっていたことで、この仕事を始めるにあたって、「引退」 も覚悟していることでもある。

 実際それでなくても、スコアラーとしてかけられる時間は既に、ほとんどなくなっている。

 でも仕事としてゲームはちゃんとできるわけである。これに満足しないようなら、贅沢といわざるを得ないだろう。

 さて、プロデューサーと協働し、番組を細部に至るまで突き詰めていくことが出来た。
 番組が始まれば、さらに衝突しながらいい方向に洗練化させていけると思う。

 でも番組が始まらないうちには、これらはひとえに 「スタート地点に立っただけ」 としか評価できないだろう。

 そしてここからは、みんなで盛り上げていくしかない。シューティング文化のために。

<了>
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