※2012年11月14日の日記です。
果たしてそれは“正しい選択”か!?
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最近、タウンページCMや某TV通販で、「大事な映像をDVDに移行して残しましょう」的な事を言っているが、映像屋としては「もうやめてくれ!」と陰ながら思っている。
デジタル映像だから劣化しないなんて言っているが、よくもぬけぬけとそんな嘘を…。
DVDはキチンと「ブロックノイズ」という形で劣化するし、急に一切再生しなくなる(※ブルー画面状態)突然死パターンだって多い。
そもそもDVDの耐用年数は、せいぜい10年程度である。(※諸説ある)
我々が店頭やネットショップで買うような“商用DVD”は作品データを工場でキチンとプレス加工するので30年超と割りと長持ちするが、個人で焼いたDVDは10年越えたあたりからポツポツ死に始めるという。
しかしこれはあくまで“目安”で、自分が商用でなく個人的趣味で焼いたあるDVDなんかは、ものの3年でブロックノイズだらけで虫の息、友達のDVDはたったの3ヶ月で天に召されていった。
友達DVDは最初から怪しい海外メーカーのDVDディスクだったからまあいいが、自分のDVD方は世界最高クラスの“太陽誘電製”(※国産)だというのに、それが起きた。
また保管状態もこれといって悪くなく、同時期に焼いた隣の太陽誘電製ディスクはピンピンしているワケだから、たまにハズレのDVDディスクもあるということで、早い話がロシアン・ルーレットのようなものだ。
対してVHSテープは、キチンと保存すれば100年もつと言われる(※諸説ある)ので、下手したらDVDより長持ちするかもしれず、それでもDVDに替えた10年後に「ワシの孫の運動会が見れなくなったわい…」と泣き暮らすご老体の姿が目に浮かぶ。
まあもっとも、VHSテープの方も高温多湿の中で放っておくとドロドロに溶けるので、VHSなら大丈夫…ともならないのだが。(※ビネガー・シンドロームという)
ちなみに神奈川の相模原市に東京国立近代美術館の映像フィルム保存施設があるのだが、あそこでやっているのは、映画フィルムの低温管理とマイグレーション(移行作業)だ。
劣化したフィルムを新しいフィルムにマイグレーションするのであって、DVDなんかにはしない。
それはともかく、我々においては結局のところ、PC上でファイル化して一まとめにし、しかも頻繁に全体コピーして増やすくらいしかなさそうだが、それとて経年発生する破損ファイルのチェックや修復・置き換えなど管理が大変だ。
公的機関や会社ならサクッと出来るかもしれないが、個人では相当気合を入れてやらないといけないし、その個人が亡くなった場合に上手く次代に引き継がれるかどうか…。
「映像を完璧に後世に残す」という事自体があまりに難しいし、ましてや今のDVDなど“デジタルデータが最強”と思う事など「悪い冗談」にしか思えない。
ある科学者の話として、こういう例え話を聞いたことがある。
自分の記憶が曖昧だからかなり脚色しているが、要旨は合っている。
「西暦2200年、ある考古学者が西暦2050年の地層を調べたら金属片やプラスチック片ばかり出てきて、何も分からなかった。 次に西暦1950年の地層を調べたら紙切れが出てきたが、水に溶けてほとんど読めなかった。 思い切って西暦500年の地層を調べたら木簡が出てきて、ところどころが読めた。 心躍ってさらに掘って紀元前100年の地層を調べたら石板が出てきて、完璧に読めた」。
それでも残そうというなら、せめてDVD化の後に“元のテープも残しておくべき”だし、そうすればDVDの方を閲覧用にして、VHSをマザーとして大事に保管するという“使い分け”ができる。
結局のところ、「DVD化して元のテープを捨てる」というのはお金と共に思い出もドブに捨てるリスクをはらんでいるのだ。
果たしてそれは“正しい選択”か!?
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最近、タウンページCMや某TV通販で、「大事な映像をDVDに移行して残しましょう」的な事を言っているが、映像屋としては「もうやめてくれ!」と陰ながら思っている。
デジタル映像だから劣化しないなんて言っているが、よくもぬけぬけとそんな嘘を…。
DVDはキチンと「ブロックノイズ」という形で劣化するし、急に一切再生しなくなる(※ブルー画面状態)突然死パターンだって多い。
そもそもDVDの耐用年数は、せいぜい10年程度である。(※諸説ある)
我々が店頭やネットショップで買うような“商用DVD”は作品データを工場でキチンとプレス加工するので30年超と割りと長持ちするが、個人で焼いたDVDは10年越えたあたりからポツポツ死に始めるという。
しかしこれはあくまで“目安”で、自分が商用でなく個人的趣味で焼いたあるDVDなんかは、ものの3年でブロックノイズだらけで虫の息、友達のDVDはたったの3ヶ月で天に召されていった。
友達DVDは最初から怪しい海外メーカーのDVDディスクだったからまあいいが、自分のDVD方は世界最高クラスの“太陽誘電製”(※国産)だというのに、それが起きた。
また保管状態もこれといって悪くなく、同時期に焼いた隣の太陽誘電製ディスクはピンピンしているワケだから、たまにハズレのDVDディスクもあるということで、早い話がロシアン・ルーレットのようなものだ。
∞・∞・∞・∞・∞
対してVHSテープは、キチンと保存すれば100年もつと言われる(※諸説ある)ので、下手したらDVDより長持ちするかもしれず、それでもDVDに替えた10年後に「ワシの孫の運動会が見れなくなったわい…」と泣き暮らすご老体の姿が目に浮かぶ。
まあもっとも、VHSテープの方も高温多湿の中で放っておくとドロドロに溶けるので、VHSなら大丈夫…ともならないのだが。(※ビネガー・シンドロームという)
ちなみに神奈川の相模原市に東京国立近代美術館の映像フィルム保存施設があるのだが、あそこでやっているのは、映画フィルムの低温管理とマイグレーション(移行作業)だ。
劣化したフィルムを新しいフィルムにマイグレーションするのであって、DVDなんかにはしない。
それはともかく、我々においては結局のところ、PC上でファイル化して一まとめにし、しかも頻繁に全体コピーして増やすくらいしかなさそうだが、それとて経年発生する破損ファイルのチェックや修復・置き換えなど管理が大変だ。
公的機関や会社ならサクッと出来るかもしれないが、個人では相当気合を入れてやらないといけないし、その個人が亡くなった場合に上手く次代に引き継がれるかどうか…。
∞・∞・∞・∞・∞
「映像を完璧に後世に残す」という事自体があまりに難しいし、ましてや今のDVDなど“デジタルデータが最強”と思う事など「悪い冗談」にしか思えない。
ある科学者の話として、こういう例え話を聞いたことがある。
自分の記憶が曖昧だからかなり脚色しているが、要旨は合っている。
「西暦2200年、ある考古学者が西暦2050年の地層を調べたら金属片やプラスチック片ばかり出てきて、何も分からなかった。 次に西暦1950年の地層を調べたら紙切れが出てきたが、水に溶けてほとんど読めなかった。 思い切って西暦500年の地層を調べたら木簡が出てきて、ところどころが読めた。 心躍ってさらに掘って紀元前100年の地層を調べたら石板が出てきて、完璧に読めた」。
それでも残そうというなら、せめてDVD化の後に“元のテープも残しておくべき”だし、そうすればDVDの方を閲覧用にして、VHSをマザーとして大事に保管するという“使い分け”ができる。
結局のところ、「DVD化して元のテープを捨てる」というのはお金と共に思い出もドブに捨てるリスクをはらんでいるのだ。