壊的カルト、再び】
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安倍元総理が銃撃されて亡くなったことで、にわかに旧・統一教会がクローズアップされている。
自分にとっては青春時代が「地下鉄サリン事件」のオウム報道を散々見せられたり、「東大原理研」(統一教会)の勧誘員と戦ったりしていたので、またかという気持ちが大きい。

・仏・道】
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自分はカルト教団が大嫌いだが、日本人にありがちな“宗教アレルギー”ではない。
むしろ、宗教哲学に興味を持っていた。

自分は中高生の頃から「何で人間のみ、こんな“がんじがらめ”な生き方を強要されるのだろう」と疑問を持っていた。
もっとも、自らを縛ることでしか自己主張できない輩が増えた哀れな現在とは違い、当時はリベラル全盛期だったから、そう考える人だらけだったというのもあるが。

そういう気持ちから、大学では道教を専攻したが、日本人の精神性は儒教・仏教・道教が渾然一体となって作用しているがゆえ、この3つを並行して学べる所にした。
それはウチの大学か、京大くらいしかなかった。

宗教学を含む東洋哲学を学んだ結果、それらがあまりに優れていて、優れているがゆえに、巷に出回っているカルトを含む新興宗教が色褪せて見えたくらいだ。
いろんなモノに興味を持つのは大変良いが、カルトなんぞを触るより、正統な宗教学(東洋哲学・西洋哲学含む)をシッカリやった方が実りあるだろう。

教の本態】
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ただ、大学などで宗教学を修めればそれで宗教を知ったことになるのか……ということだが、実際はそんな簡単な話ではない。

後年、自分が校閲仕事をしていた時、かなり先輩の校閲者が面倒見が良くて色々教わったのだが、現在だと75歳くらいか。
大学進学率が17%台の時代に国立大を出たエリートで、正統派プロテスタントだったので大学で宗教学の講師も務めていた。

自分が儒・仏・道を学んでいて、先輩がキリスト教ということで、昼休みに宗教談義になったことがある。
自分が道教哲学を中心にあれこれ話していて、その中でフト、こういうことを言った。

自分「大学では宗教者(僧など)でなく、研究者から教わったから宗教学を客観的に分析できて良かったですよ。宗教を理解するのにバイアスが掛かっていてはいけないので」

すると先輩の返答は、意外なものだった。

先輩「宗教は信仰があって成り立つもの。信仰心がなければ、真に宗教を理解することはできない」

……はあ、なるほどと感嘆してしまった。
信仰心ゼロの自分では、理論は分かっても、その宗教の“こころ”といえる部分までは触れられないのである。

もちろん信仰心のみで哲学部分を客観視して研究できなければ、これまた宗教を理解するには至らないのだが、逆もまたしかりか……と。

そうやって俯瞰すると、果たしてその2つの視座をもって宗教を真に修めた人間なんて、どれだけいるのだろう。
近代に入ってからは井上円了など、僧籍を持ちつつ哲学視点から教えられる研究者に大幅に限られ、ほとんど出会えないということになるのか。

考しかない】
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宗教の本態は果てしなく迂遠であり、だからこそ我々は往々にして、宗教を持て余し気味だ。

そういえば、「地下鉄サリン事件」が起きた時、とある学者が「一連のオウムの事件は“宗教的事件”だ」と言及して物議を醸したことがあった。
なぜなら、他の真面目にやっている宗教団体にとって、その発言はサリン事件みたいなことは、どこの宗教団体でも起こし得ると言われたに等しいからであり、たまったものでなかったからだ。

しかし、オウム信者は悪党が入信したケースは稀で、ごく普通の人が“純な”信仰心を持ってグル(麻原)を信じたことが嚆矢となっているわけである。(※その後、マインドコントロールをかけられたのかも知れないが)
信仰心が引き金になって起きる犯罪、戦争について“宗教的”と評するのは間違っていなかったのだが、事が事だけに結局は有耶無耶となってしまい、この一件で自分は、国民のみならず、宗教者ですら宗教を持て余している……という印象を持つに至った。

さて、そのようなややこしい宗教世界だが、この手の「破壊的カルト」教団に関していえば、引きずり込まれないための方法はある。

やはり、それは「思考」である。
ここでは単に論理的・科学的思考ということではなく、「基礎的な宗教知識に裏打ちされた思考」を指し、信仰心の有無は問題とならない。

例えば、こんな話がある。
統一教会以外の教団で、名前は伏せるがかなり巨大な組織が発行した教本を、大学で教鞭をとる高名な宗教学者が読んだところ、「最初の数行でポイ捨てしましたよ」とのことだった。
それは別に、その教団がハナから気に入らないというのではなく、教本が仏教を教えていたのだが、その理論が壊滅的に間違っていたからである。

このように、間違いを見つけたり、矛盾に気づいたりすることは、カルトに染まらない、あるいはカルトから抜け出す契機となっている。

さらに例を挙げると、自分が四半世紀前に愛読した「マインドコントロールの恐怖」(スティーヴン・ハッサン 著/浅見定雄 訳)では、極めて優秀なユダヤ人だった著者が破壊的カルト教団に入信し、マインドコントロールをされてしまう話がある。
彼の脱会のキッカケはやはり、“矛盾への気づき”そして“客観視”だった。

したがって、我々が統一教会のようなカルト教団に関わらないようにするには、理論でいいので宗教を学ぶことにあるようだ。
もちろん先述のとおり、それで宗教を理解したことには全くならないのだが、対カルト教団における「最低限の防御」には、十分なり得ると考える。


マインドコントロールの恐怖
(スティーヴン・ハッサン 著/浅見定雄 訳)


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