閲・校正という仕事】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

かなり前だが、女優の石原さとみさんが新型コロナウイルスに感染していたというニュースが流れていた。
石原さんというと、「校閲ガール」(日テレドラマ)である。

大手出版社の校閲部に勤める20代女子の奮闘記で、ドラマの影響で校閲業が世間に認知され、校閲・校正歴が20年以上もあるのに、他人にほとんど説明してこなかった自分も、あれで説明がしやすくなった。

さて、「校閲ガール」では校閲部という専門部署で“それだけ”に従事していたが、実際はというと、そんな恵まれた環境で働けるのは、大手新聞社・大手出版社などごくごく一部に限られた話で、大抵の出版社では編集者が校閲・校正を兼ねるか、その辺に散在する編集プロダクションに“まるっと”丸投げするので、ドラマのような校閲ガールになろうとしても、ほぼ100%無理だ。
校閲・校正の職場の大部分は印刷会社の編集部門だったり、編集プロダクションだったりして、まず、正社員として雇われることすら困難な世界である。

社員自体が少ない!】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

自分が校閲・校正のフリーとして出入りする会社は、上記の編集プロダクションや広告代理店の編集部門ばかりであり、新聞社や大手出版社の校閲部なんて、見たことすらない。
そもそも、校閲・校正の正社員のクチ自体がほとんどないのだ。

先日、編集プロダクションで20代の正社員の校閲ガールを見たが、極めて稀なる存在で、二度見したくらいだ。
なぜなら正社員の場合は、編集・取材・ライターなどひっくるめて雇うのが基本であり、校閲のみで雇うということが極めて少ないためである。

だがこんなレアな校閲ガールですら、ドラマのように原稿用紙と刷りゲラを見比べて赤字を入れていくという仕事に専念できるわけではなく、PCでデータを管理したり編集したりという雑務もこなさないといけないので、ドラマのような仕事に憧れている奇特な人も、9割引くらいで見ないといけない。

赤ペン(最近はもっぱら“フリクションの赤”だが)ゲラに赤字を入れたり、鉛筆で疑問出しをしたいという人は、派遣会社に登録して派遣社員として編集プロダクションに派遣されるか、フリーランス紹介会社に登録して編集プロダクションに出社すれば、“部外者扱いでほとんどPCには触らせてもらえない”ので、かえって理想に近づけるかも知れないが、報酬は派遣だろうがフリーだろうが、あまり高くない。(※バイトよりは遥かに高いが)

閲の現場】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

そんな味気ない校閲・校正の世界において、自分が出会った校閲ガールについて語る前に、この世界の男女比について説明する。
長年の自分の感覚だと、「男2:女8」である。

これなら校閲ガールだらけでは……と思いたくもなるが、残念ながら、違う。
“ガール”といったら、若い子である。
ドラマの主人公が20代だったから、仮に30歳までを校閲ガールとした場合の比率で見てみると、「(30歳未満)2:(30歳以上)98」である。
女子に限ったことではないが、本当に若い子が入ってこないのだ。

でも、これは仕方のない事だろう。
ドラマでは校閲ガールが本の著者に突撃して内容の指摘をしていたが、そんな派手な芸当は現状ではない。
せいぜいメールでのやり取りであり、自分が昨年、著書「eスポーツビジネス」を執筆した際も、査読する自分とは別に校正者が付いたが、正誤のやり取りは当然メールかLINEだった、突撃されたらビビる。

もっとも、校閲・校正者になればこんな一冊本を扱えるのかといえば、そんなことは、ほとんどない。
私は純文学や小説に囲まれて校正したいなんて言う文学少女は、ここでお帰りになった方が良い、それが御身のためでもある、
大体、校閲・校正者になって扱う原稿はといえば、ネジやスイッチばかり載っている製品カタログだったり、企業案内やCSR報告書だったり、卸か通販だかのリストだったり、スーパーやら地方自治体やらのチラシやリーフレットばかりで、場合によってはそれがモノクロやFAXで出したような粗い状態で渡されての作業であり、そのあまりに地味さゆえ、いっそそのまま溶けて原稿の一部におなりよというレベルなのである。

そんな原稿と刷り上がったゲラ(※カンプとかプルーフとも言う)は、ディレクターや編集者から手渡され、自席でそれに赤字や疑問を入れたら、再びディレクターらに差し戻す。
朝から晩まで、全て自席での仕事であり、野っ原にいる著者やら出版社に出向いたりとかは、自分ですら拝んだことのない、出版社のごく一部の超エリート校閲者あたりなら知らないが、圧倒的大多数である編集プロダクション(下請け)など校正の主戦場では、一切ない業務内容だ。

そんな地味すぎる現実の中、若い子なら、どうせ出版・編集業界を目指すなら、花形のライターや編集者になろうとするのが人情だろう、わざわざ校閲・校正を目指すなんてのは、よほど好きでないと無理だ。

その結果、何が起きるかというと校閲・校正の大部分は「編集者やライターを辞めて流れてきた人」ばかりで構成され、職格は派遣かフリーのどちらか……ということになる。
そういう人は手前でガッツリ仕事をしているので30代で入ってくることは稀で、40代~60代が大部分ということになる。
ちなみに、自分は20歳そこそこで校閲・校正者になったが、当然ながら激レアケースである。
いずれにせよ、そんな世界で出会った校閲ガールについて語るのはあまりに至難の業なので、誠に勝手ながら自分ルールを適用して、“40歳未満”を校閲ガールとして語ろうと思う。

閲ガール・実例】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

最初の校閲ガールは、20歳そこそこの女子・Aさんだ。
10年前にフリーとして印刷会社の編集部門に行った際に出会った子で、何でこんな子が……と思った。
それもそうで、周りは40代~60代のオジサン・オバサン校正者だらけの中なので、違和感半端ない。
それどころか、自分から見てもかなりの可愛さで、どこぞのアイドル事務所の研修生ですと嘘つかれたら信じるレベルだ。
これは、職場が荒れるぞ……と思った、
当然の流れなのか、本人の技量などそっちのけで、オジサン達は大興奮でAさんの容貌・器量の方に全集中、職場の中ではAKBのような扱いとなってしまった。
Aさんは、早々に職場に来なくなった。
噂では彼氏が出来て、そのまま来なくなったとかで、校正仕事にどれだけ興味があったのかという話である。

同じ職場では、30歳前後のBさんとも出会った。
自分は行っていないが、校正者が行く学校・日本エディタースクール出身(※自分は行っていない)で、大学は早慶レベルの女子大卒と、あまりにハイスペックすぎ。
自分が見た感じ、浅い経験ながらも校正仕事も優秀だったが、そんなことはどうでもいい、今からでも遅くないから、他社で編集の正社員をやった方がいいと思った。
Aさん同様、オジサン校正者から人気だったが、自分がその職場を辞めたので、その後どうなったかは分からない。

Cさんは30歳すぎ、引っ詰め髪で地味な服装、ケバい自分とは真逆の地味さで、恐らくはこれぞ多くの人が想像する校正者の典型といった感じである。
あまりの地味さゆえ、ミカヅキモモコとまでいかなくても100均アイテムで少しは飾れんのかと思ったが、だがそのぶん敷居が低くて話しやすく、自分も気楽だった。
技量面は、校正で抑えておくべき勘所がまだ身についていないようで、つい最近まで事務職だったというから、それはやむなしだろう。

Dさんは30代後半、シックな黒で決めているキレイなお姉さん的な感じだった。
元・編集者にしては早く辞めてこっちに来たなという感で、校正仕事は編集者的なレベルで、よくできた。
青山か表参道で一緒に飲んだが、そういう小洒落た雰囲気が似合う人だった。

Eさんは38歳だった。
大企業の広告部門が独立した会社で一緒に働いたが、一番仲が良かった。
この年代だと元編集者が多いところだが、フリーターから校正者になったレアケースで、自分と似ている。
MARCH出身で頭がよくて、仕事では細かな試行錯誤や工夫を欠かさず、出来もよかった。
なかなかのオシャレで、個性的なのだが、唯一の欠点は“ヘビースモーカー”だったことで、自分が「顔に縮緬ジワが出来るから早々に禁煙した方がいい」と助言すると、それを受け入れて、そのお礼にアメリカンスピリットの缶のタバコ入れをくれた。(これは今でも自分の“綿棒入れ”となって職場に置いているが、おかげで今度は自分がヘビースモーカーだと間違われる)
……その後、彼女は禁煙に失敗した。

閲ガールという幻想】
クリックで拡大(撮影:中野龍三)。

要するに、校閲ガールなんていうのはほとんどない“幻想”であるということ。
見た目も気質も能力もバラバラで、プロトタイプというのが全くない。
それに、20代などほとんどいなくて、50歳前後の“校閲マダム”がほとんど。

では、そんな世界での仕事が絶望的でつまらないかといえば、実はそんなことはなく、むしろ面白かったりする。

50代以上の校閲マダムは、元・編集者や元・ライターによって占められているので、前職での華やかな編集仕事について興味深く聞けるし、ためにもなる。
おまけに校閲オジサンは独身者が多かったが、校閲マダムは既婚者が多かったので、“息子の子育て相談”にも乗ってくれ、自分としては大助かりだった。
なので自分は、友人付き合いは少ない方だが、この手の校閲者と頻繁に食事したり、飲みに行ったりしていた。(※新型コロナウイルス発生までは)

いずれにせよ、校閲仕事は正社員にでもならないと先行き不透明で、フリーランスでやっていける人間は限られている。
またクリエイティブな仕事でなく、地味に正誤と向き合う世界なので、同じ事でもコツコツ向き合えるような人でないと続かない。
それでも、校正・校閲は正誤を見抜くのに論理的思考力が求められ、さらに精度を高めたり業務効率化したりするのにも必要なので、そういう意味でのやり甲斐はある。

したがって、校閲の現場ではドラマ的なキャピついた女子が入り込む余地はほとんどないといえる。



話題のニュース 東京で新たに342人の感染確認 人出は軒並み増加傾向 新型コロナウイルス 話題のニュース 大阪府の病院 ワクチン接種後に女性看護師(50代)が感染 新型コロナウイルス [補足]「抗体ができるのに2週間かかる」、女性看護師については「接種以前に感染していたようだ」とのこと。
話題のニュース 東京五輪・パラ、海外客受け入れ見送りで「1500億円の経済効果が失われる」との試算も 新型コロナウイルス テレビのニュース 気象庁会見「今後1週間程度 震度5強程度の揺れ注意」 宮城・震度5強 政治や経済のニュース オリエンタルランド、通期511億円赤字予想 北米ディズニーストア閉店 「夢の国」にコロナの試練
THE OWNER
政治や経済のニュース ウ一バーイーツ配達員ブチギレ「報酬減らされてもう生活できない。なのに運営は今日も1,800円タダク一ポンばら撒いてる。ふざけんな!」 社会・事件のニュース 抗生物質にまみれ…日本のニワトリが辿る「悲劇」をご存知ですか? [一言]欧米と比べたら、あまりに悲惨な環境。
地獄道より酷い畜生道、中国のことをどうこう言えるレベルでない。
社会・事件のニュース 死刑執行日に出す予定だった妻への手紙に「これからもよろしく」と 地下鉄サリン事件犯たちの“最後の言葉” [補足]教団幹部たちの“死刑執行の時”を淡々と綴っている️。
社会・事件のニュース 死刑囚・加藤智大の描いた絵の闇が凄まじい 生活全般のニュース これはすごい ツイ民さん、一ヵ月かけて「カカオの実」からチョコレートを作ってしまう
えごん
[一言]こうやってチョコは出来るのか……素晴らしい!
生活全般のニュース 助けて! ワイのパソコンがハッキングされてお祭り状態なんだが
Y速報
生活全般のニュース 歳とったなぁと感じる瞬間上げてけ
ネギ速
スポーツ・芸能のニュース 元SKE48・山田樹奈が詐欺で逮捕 ピークが過ぎた48グループが抱える、生活苦メンバーの「逮捕リスク」 ゲームのニュース かつてポケモントレーナーを夢見ていた昆虫学者さん、レアな新種の虫を発見し「伝説のポケモン」の学名をつける ゲームのニュース 格闘ゲーマー「冗談抜きで初心者を大事にしていかないと未来がない」 ゲームのニュース 3大・ゲーム機をぶっ壊すゲームといえば「パワプロ」「モンハン」 動画のニュース 文○砲秒読み!? コスプレ黒歴史を暴露するお天気お姉さん