中野龍三Web : 風疹の患者数、1,800人越え！「2013年・風疹大流行」の前兆なのか

【風疹の患者数が1,800人越え！】

最近、“風疹のニュース”をよく耳にするが、昨晩のニュースによると、ついに「風疹の患者数が1,884人に上った」との事。

悪名高い「2013年・風疹大流行」では14,344人もの感染者が出たが、その前年は2,386人とあって今年と酷似しており、2013年の災厄の前兆かと思えるレベルの大規模流行なのである。

【妊婦にとって、あまりに怖ろしい病気】

風疹は、数メートル内でクシャミなどの飛沫を吸い込んで感染する病気で、インフルエンザより感染力が高い。
症状は「発熱」「倦怠感」「リンパ節の腫れ」、そして「ポツポツとした赤い発疹」であり、子供が感染した場合は軽くて済むが、大人が感染すると重く長引いて厄介な病気だ。

ただ、風疹が最も怖れられているのは、妊娠初期の女性が感染した場合、赤ちゃんが「目や耳や心臓に重い障害」を持って生まれてくる可能性があるからだ。

この障害は「先天性風疹症候群（CRS）」といい、妊娠１ヶ月で風疹に感染した場合は、50％以上の確率で、その子供は障害を持って生まれる事となる。
2012年～2013年の大流行の時は、45人の赤ちゃんが障害を持って生まれ、うち11人はその後、死亡した。

風疹は既に過去に感染したか、「予防接種」を２回受けた人は「完全な抗体」を持っているため、再び風疹に感染する事はない。
しかし、過去に風疹に感染した事がない人や、「予防接種」を全く受けていない、あるいは１回しか受けていない人は、感染リスクが大いにある。

なので、政府や自治体、マスコミは、しきりに風疹の「抗体検査」や「予防接種」を呼びかけている。

【抗体を持っていない世代が多い！】

さて、その「完全な抗体」の有無だが、1990年4月2日以降に生まれ男女は、既に２回「予防接種」を受けているので、予防接種はおろか、「抗体検査」すら必要ない。

問題なのは、それ以前に生まれた世代で、特に「男性」は１回も予防接種を受けていないケースも多い。
実際、いま風疹に感染しているのは「30代〜50代の男性」が中心といい、妊娠する予定のある女性と共に、彼ら男性も「予防接種」を受ける事が、胎児の風疹リスクを抑え込むカギとなっている。

風疹は今や喫緊の社会問題となっているため、自治体によっては「抗体検査」「予防接種」共に、“無料”で受けられる。（※要確認）
いずれにせよ、いきなり「予防接種」を受ける事はできず、まずは「抗体検査」（採血）となり、１週間程度で結果が分かる。

「抗体検査」は上記画像の通り、“ HI法”や“LA法”などによって行われる。
検査結果が上記画像の「◎」（32以上）なら予防接種の必要なし、「△」「×」は抗体が弱い・抗体なしのため、風疹感染リスクがあり、「予防接種」が強く推奨される。

【とにかく、検査や予防接種を！】

なお、かく言う我々はどうなのか？についてであるが、我が家では、妻は予防接種済み。
そして、自分はというと1976年生まれのため、予防接種は１回も受けていない。

……で、そんな自分が「抗体検査」をしてみたところ、“32”と出て、予防接種は不要と判定された。（※上記画像の通り）

実は、自分は40年近く前に「風疹に感染」していて、母からは“３日ばしか”に罹ったと言われてきたが、それはあくまで“口伝”のため、慎重を期して、過去に検査していたのである。

いま、風疹流行の主な感染源となっている“30代〜50代の男性”は、子供の頃に風疹に感染したかを調べるなら、親に訊くのも良いが、病気の履歴が記されている「母子手帳」を見てみると良い。
風疹に感染していなかったり、母子手帳を紛失していて、かつ親の記憶も曖昧なら、必ず「抗体検査」を受けるべきだ。

なお、予防接種は妊婦は受けられないため、赤ちゃんを授かりたい女性で抗体が弱い・抗体なしの人は、遅くとも「妊娠２ヶ月前」には予防接種を済ませる必要がある。

赤ちゃんの障害は大人になっても治らず、一生続く。
そんな悲劇を起こさないためには、完全に予防できる風疹にならない事が、なすべき事なのである。