NHKの異例対応】
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例年ビジネスデイに行く「東京ゲームショウ」だが、子育て諸々で忙しくて初日からは行けなかった。
昨年は“VR”だったが、毎年テーマが取り沙汰されるゲームショウ、今年の注目テーマは「eスポーツ」のようで、会場では対戦大会など繰り広げられ、NHKニュースでも取り上げられた。

ここ数年、NHKは若者文化を積極的に報じるようになったとはいえ、夜7時と夜9時の2回とも、ゲームショウより「eスポーツ」そのものに照準を合わせた特集を組むなどの異例対応には少々驚いた。

「eスポーツ」、10年前とは比べものにならないほど、メディアに取り上げられるようになり、初期の頃から関わっていた自分にとっては、何とも感無量なところもある。

創期のeスポーツ】
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さて、以下はeスポーツ草創期から現在に至るまでの道のりを、簡潔にまとめてみたいと思う。
なお、記事は“初期”とか“中期”とか分類がなされているが、あくまで自分がeスポーツ誕生期から現在までを“勝手に分けただけ”なので、このサイトでしか通用しない尺度と捉えていただきたい。

そもそもeスポーツとは「ゲーム競技をプロ野球やプロサッカーと同様に、ゲームをプロスポーツとして捉える概念」である。

その始まりは諸説あるが、当サイトでは1997年にアメリカで開催された「Quake」(FPSシューティング)の大会をその嚆矢と捉えている。
大会で優勝賞品として“フェラーリ”を贈呈され、当時では画期的な出来事だった。
これを機に、アメリカではゲームのプロスポーツ化(eスポーツ)が根付き、アメリカ以外でもスウェーデンや韓国など諸外国においてもeスポーツ化が進んでいった。

日本における草創期はこれよりかなり遅れ、2002年~2003年ごろ、韓国資本が投下されて18歳以上のプロゲーマー候補を1年がかりで育成する方法でプロ化が進められたが、2003年5月に頓挫してしまった。
まだ日本ではプロゲーマーもeスポーツも未知の存在であるうえ、韓国など海外で流行っていて、日本であまり流行っていないゲームタイトルで実施したことや、ゲーマーの生活保障の仕組みが未発達だった事が頓挫につながった…と推測している。

期のeスポーツ】
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それでもeスポーツという言葉はテレビや雑誌などのメディアを度々賑わせるようになり、自分も2005年あたりからeスポーツに興味を持ち始め、eスポーツ団体とコンタクトを取り、企画や手伝いなどの仕事をさせていただいた。

eスポーツ団体においては、PCオンラインのFPSシューティングや、RTSといったリアルタイム戦略ゲームの大会が実施されたが、規模はまだ大きくなく、賞金は1位でも数万円程度と、それで食べていけるゲーマーは皆無だったし、あえてプロゲーマーを名乗る選手もいなかったと記憶している。

そもそも日本において「プロゲーマーか否かを認定する機関は存在せず、これは現在も同じ」である。
だから、海外で賞金1,500万を稼いでくる格闘ゲーマーでも、テレビかイベントでゲームプレイしてギャラを貰うゲーマーでも、分け隔てなくプロを名乗れてしまうという事情がある。

日本のプロゲーマーの定義は、未だに“曖昧”なのである。

一方、韓国では国内リーグもあり、韓国のeスポーツ協会が課す試験に合格してプロ資格認定された者のみが、プロゲーマーだ。
当時の自分は、このeスポーツ団体の内外から“ゲーマーが収入を得る方法を様々な角度から模索”し、例えばXbox 360の3Dシューティング「旋光の輪舞」の対戦会を提案・実施したり、2Dシューティングゲーム大会を提案(※のみ)したり、アーケードの2Dシューティングゲームの攻略DVDをキチンとしたメーカーライセンス契約の下で発売して、売上をプレイヤーに還元したり、さらにはゲーマーをテレビに出して実演させるCS番組の実施へと繋がるのだが、まあこの辺の詳しい事情は今回は割愛したい。

ただ、今の自分は、誰も彼もがプロを名乗れてしまう現状ではなく、キチンと認定機関が出来て「そこから認定された者だけがプロゲーマー」というふうにした方が、ブランディング面からもいいのかも知れない…と考えている。

期のeスポーツ】
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中期も“初期を長々と引き継いでいる感”があったが、少しだけ変化があった。
2006年に「JeSPA」というeスポーツを支援する社団法人が出来た事だ。

JeSPAはまだ“準備会”という立ち位置だったが、eスポーツ大会を何度か開催したり(※なぜか小錦がゲストだった)、定期的な事業報告会も行っていた。

ただ自分はeスポーツ大会で扱われるゲームジャンルやタイトルが、現時点で日本で流行っているジャンルやタイトルでなかったため、どこか冷めた視線で報告会に出席していた。
この頃の自分は、海外で流行するFPSやRTSより、日本国内で流行っているゲーム競技にシフトしないと、むしろ海外のように盛り上げる事はできないと考えていたためである。

結局のところ、ゲームタイトルに対する衆人の興味が少ないと採算が取れないし、韓国のプロゲーマーが1日10時間くらい“専業として”練習に明け暮れている一方で、当時の日本のeスポーツ競技者はPCパーツ屋でバイトするなどの“兼業状態”で、海外の大会に出てもなかなか勝てなかったりと、苦杯をなめる日々が続いた。
また、蒲田にあったFPS「カウンターストライク」の専門店が2008年には閉店するなど、競技環境の不足も依然として問題だった。

先のJeSPA事業報告会において、とある韓国人eスポーツ関係者が自分に語るには「韓国がヘゲモニー(※主導権)を握っているかのようなeスポーツのカタチではなく、もっと日本の良さを出した独自のモノにすべきではないか」と言う事だったが、これはまさに同感だった。

期のeスポーツ】
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かなり膠着状態になっていると見えた日本のeスポーツ環境だが、一気に風向きが変わる事が起きた。

プロ格闘ゲーマー「ウメハラ」氏の登場である。

それ以前からアーケードの格闘ゲームの世界で多大な実績を積み重ねていて、同じアーケードとはいえ畑違いの自分でも、メディアを通してその存在を知っていた。
しかし、ウメハラ氏が2010年にアメリカのゲーマー向け周辺機器メーカー・Mad Catz Interactive社(※当時)とのスポンサー契約を結び、文字通りのプロゲーマーを名乗る事になってからは、一気に「格闘ゲームでのプロ化」が現実のものとなった。

これは日本のeスポーツ環境においては“大きなパラダイム・シフト”であり、ウメハラ氏の大会における劇的な大逆転劇が話題になったり、その生き様・考え方が著書としてベストセラーになるなど、単なる大会競技のみにとどまらない活躍を見せ、まさにeスポーツ一本で食えるゲーマーが多く生まれる契機となったのである。

その後は、同じ格闘ゲーム畑から何人も専業プロゲーマーが誕生、また、PCオンラインゲーム「League of Legends」(LOL)では、給与制によってアルバイトなどに頼らずeスポーツの練習に専念できるチームが誕生するなど、他のゲーム畑にもプロ化の波が及んでいったのである。

自分が中期から「日本の事情に合ったゲームジャンルを」と述べてきた事が、ようやく現実化して、いよいよ始まるのか…と当時は心躍った次第である。

ただ、まだeスポーツ環境は完全に整ったとはいえない状況だった。
それは、日本にはまだ「国内リーグ」が存在していなかったからだ。
この当時、自分は某・大手ゲームメーカーから今度出す企画書の相談を受けていたが、その際、企画書には「国内リーグの創設目標」が書かれてあったが、その後、何もなかったことを見ると、立ち消えになったようである。

在のeスポーツ】
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JeSPAは“準備会”が取れて正式団体となった、そして2016年には「国内リーグ」(日本eスポーツリーグ)がついに誕生した。
各地域にチームが出来て、そのチームが総当たり戦で競技を行なうというもの。
格闘ゲームやサッカーゲームが種目に選ばれて、JeSPAもここに共催として名を連ねている。

ただ、出来たばかりなので規模は限られ、日本のプロゲーマーの多くは海外のeスポーツ大会で稼ぐスタイルがメインのようである。

またここにきて、ゲームメーカーもeスポーツを「ゲームソフト販売増・観戦料収入・配信ロイヤリティー収入・物販」など“新たなビジネスチャンス”として熱視線を送り始め、昨日のNHKニュースではカプコンの広報が、その熱い想いを語っていた。
今や「賞金総額20億円」の大会も開催されるに至っているが、これは海外の大会であり、最終的には日本国内でも賞金総額の大きい大会が開かれるなど、日本でのeスポーツ環境がさらに進むことが必須の課題だ。

そして2022年、中国で開催される競技「アジア室内競技」において、ついにeスポーツが採用された!
ますます日本のプロゲーマーが海外で活躍し、ひいては国内のeスポーツ環境が進む起爆剤にもなると、期待が集まっている。

eスポーツのこれから】
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一言でいうと、「国内リーグをもっともっと成長させるなど、国内で活躍できる環境をより拡大していく」しかない。
国内だけで食えるプロゲーマーが、もっと多数出てきた折には、日本のeスポーツ環境は劇的に進化すると予測している。

現状においては、まだまだ日本のeスポーツは“過渡期”にあり、欧米などeスポーツ先進国の後塵を拝している感は否めない。

先日も、プロゲーマー専門学校の学生が現状に絶望してプロを諦め、そのさまを怒りと共にネット上に綴っていたが、身を削って犠牲を払ってここまでeスポーツ環境を発展させて来た先人達に失礼だ…と腹立たしく思う一方で、もっと裾野の広いeスポーツ環境を用意してあげれれば…という申し訳ない気持ちもあった。

今後、日本のeスポーツ環境が欧米などに比肩するくらいに発展し、夢を追う若者の“強い追い風”となる事を、切に願っている。


[関連]自分が過去に書いたeスポーツ記事一覧(2005年~2012年)
[関連]プロゲーマー(Wikipedia)



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