2012年8月25日の記事です。

6666

自分が運営に関わったeスポーツ対戦会より。


 「ゲームをオリンピック種目に」というのは北京五輪の頃から出ていて、ゲーム競技者なら一度は考えるかもしれないこの話。
 実際のところ、そんなことが可能なのだろうか?

 “競技人口的”には、アメリカ、韓国、中国、ドイツ、ノルウェー…そして日本など、世界の多くの国にプロゲーマーがいるわけなので、問題ないと思う。

 実際、世界最大のeスポーツ大会“WCG”では最大74ヶ国が参加しているので、今後の流れ次第では、オリンピックの競技採用基準「4大陸75ヶ国以上」(※男子の場合)を満たすことが出来る。

 ただそれでも、本当にオリンピック種目化を実現しようとするならば、そこに「2つの問題」が立ちはだかるだろうか。


【そもそもゲームはポーツなのか?という問題】

 まず挙げられるのが“そもそも論”的なこの問題。

 特に“ゲームはホビーにすぎない”と軽視する声も多く、わが国では特にそれが甚だしいが、実は世界でもこういう声はそれなりに多く聞かれる。
 ゲームのイメージがオリンピックに直結するのは、一般的には難しい。

 ただそれでも自分は、「ゲームはスポーツだ」と結論づけている。

 ゲームが「競技」と「肉体的鍛錬」(手先や動体視力など)の2要素を有している以上、スポーツでないと否定することは出来ない…つまり、“スポーツである”ためだ。

 もっとも、スポーツの定義自体があまり定まっていない背景があるゆえ、こういった“歴史的かつ消去法的アプローチ”となっている。

 いずれにせよ、まずは「ゲームはスポーツである」ということを理解してもらわないとならないわけであり、これは決して低くない壁なのである。


【ゲームルールの理の問題】

 もう一つの問題は、「ルールを理解すべきゲームの数が多い」ということだろう。

 他のオリンピック種目は基本的に“1つのルール”だ。
 「テニス」も「アーチェリー」も「柔道」も、それ1つのルールで作られたゲームといえる。

 今回も日本が大活躍した「体操」は、確かにいくつかの部門に分かれ、ルールも違うが、見た目で分かり易いうえに数も限られる。
 観客は限られたルールのみ覚えれば、その競技を永続的に楽しめる。

 しかしeスポーツのゲームタイトルは、無数にあるうえ、今行われている「格闘ゲーム」「FPS」「RTS」は、それぞれ全く違うルールで構成され、見た目も分かり易いかといえば…さすがにそうですとは言えない。

 さらに、年を追うごとに古いゲームタイトルは新しいゲームタイトルに更新されることになるので、ルールを理解すべきゲームの数は無限で増えていく。

 もし、マリオやブロック崩しのように“見た目で分かるゲームの数部門”でずっといくなら、ハードルは大幅に下がるのだが。


【条件をたすだけで済まない現実】

 また何より、先述の“4大陸75ヶ国以上”を満たした競技がすべて認められるわけでないという現実がある。

 それどころか、人口に膾炙して一度は採用された「野球」や「ソフトボール」が現在外され、さらにメジャーな「ラグビー」に至っては90年近くも開催されず、ようやく次のリオ五輪で“7人ずつという妙な制限付き”で、ようやく再採用されたのが現状だ。

 そんな中で、恐らくゲームについてよく知らない国際オリンピック委員に、どうやって正しく理解して貰うのか…。

 もし“本気”でやるならば、その辺をもっと詰めないといけないのでは、と自分は考えている。


≪関連記事≫
プロ・ゲーマーとは?(Wikipedia)