2014年3月6日の日記です。

11日連続勤務の果てに死んだ】
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富山のサービスエリアに高速バスが突っ込んで2人が死亡、24人が重軽傷を負った事故だが、死亡した運転手は「11日連続勤務」だったようだ。

またしてもとんだブラック企業出現…と思ったが、何とこれが“合法”とか!
労使協定を結んだ場合は、こんな勤務でも「法令違反にはあたらない」のだそうだ。

また労働基準法でも、2週間に1日は休暇を取れば、13日まで連続勤務が出来ると定めているといい、美しいまでに網目の粗いザル法だと感心した。

ただのデスクワークでもこんな勤務では疲れ果てるのに、ずっと緊張感を持って運転し続ける高速バス運転手に適用して何とも思わないという感覚異常。


ロワの高速バス求人をあさってみると】
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そして運転手側も全くそんな労働環境をよく受け入れているなと思って、ハローワークの高速バス運転手の求人票を眺めていると、何となく「いやらしい仕組み」が見えてきた。

どれもやたら“基本給が低い”のである。
つまり、爆安の基本給を埋めるため“別途努力”しろという言外圧力だ。

ネット上で高速バス運転手と思しき人々の声を拾ってみると、ほぼ一致しているのが、「休みがない」「残業代で稼ぐしかない」という事だったので、“別途努力”とは恐らくそんなところかと。

こういう勤務をしないとマトモに稼げないような環境を作っておいて、半ば強制的にそこへ追い込んでいくという手口が見え隠れするのである。


き過ぎた「謙譲の美徳」】
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アメリカでは溶接工が人手不足で銀行員の給料を上回ったニュースがあったが、日本では夢のまた夢だ。
日本だと、人手不足になると、残った社員をコキ使う事で「解決」する。

社員はそれに抵抗出来ず、いつも泣き寝入りし、酷い場合は“社畜自慢”に陥る。

「謙譲の美徳」というのが昔から日本にはあり、非常時の譲り合いなどのメリットもあるが、その行き過ぎは害でしかない。

子供の頃は“クラスで手を挙げない”、大人になってからはこのように“悪い労働環境に異を唱えない”。

本来はそんな「謙譲の民」に報いるべく、政治の力で権利を守ってやるのが筋なのだが、民が“手を挙げない”のをいい事に怠け、あるいは身内や支持母体の大企業の利益を優先する事を繰り返してきた。

だからこの手のバス事故が起きても、表面的にルールは変えるが、労働者の環境を“劇的に変える”ことは上記の事情により、決して出来ない。
もし出来るなら、2012年に起きた「関越自動車道バス死亡事故」の時にやっていたはずである!

したがって、このような悲惨な事故が起きても、次回に決して“本質的意味”では活かされないのだから、同じ事がまた起きるだろう。


治のツケを国民が払う】
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むしろ4月の「消費税増税」で、ますます状況は悪くなる可能性もある。

増税後に「料金を上げないバス会社」に客が流れる事態が起きれば、各バス会社は社員をさらに安く使い倒さないといけなくなる。

「企業が社員を死ぬほど働かせて安月給で買い叩く」
 ↓ ↓
「社員は安月給と時間の無さで消費出来ない」
 ↓ ↓
「消費減で企業はサービス料金を上げられない」
 ↓ ↓
「人を雇えないので雇用が生まれない」(…以下、ループ)

つまり、上記のようなデフレ時に見たような悪循環がさらに加速するワケで、これもひとえに劣悪労働環境を改善してこなかった「政治のツケ」である。

そしてそのツケを我々国民が給料を削るだけでなく、さらに“命まで削って支払う”のだから、こんなバカバカしい話はない。



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