2008年10月31日の日記です。

麻生首相またセレブ発言 「カップ麺は400円」 と答弁 (スポーツ報知)

 先日の国会答弁で麻生首相が野党議員にカップ麺の値段を聞かれ、「400円くらいか?」 と答え、170円くらいですと突っ込まれたことから、その庶民感覚の無さを糾弾されたようだ。

 だが自分はこのニュースを見ているうちに、「本当に400円のカップ麺はないのだろうか?」 という本来の趣旨からは全く外れたことがとても気になり始め、ちょっと調べてみようという気に。

 さて、早速顔見知りなど数人にあたってみた。

 「いや、ちょっと聞いたことねぇっす」 (庶民)
 「限定販売とか有名ラーメン店の提携商品ではないでしょうか?」 (プチセレ)

 全くヒットせず。やはり400円なる高額のカップ麺など、存在しないのだろうか。

 ・・・ということで調査終了、じゃあやらない方がマシな訳で、情報はやはり “足で稼ぐ” が基本、カップ麺販売店をいろいろ回り、店ごとの最高額カップ麺を調べることとする。


≪#1:【スーパー】 サミット≫

 さて、トップバッターはスーパーの 「サミット」 。そのサミットという名前からは想像もつかないくらい庶民臭の凄い店だ。

 お目当てのカップ麺コーナーを見つけて何と138円が最高級。その名も 「マルちゃん赤いきつね」 だ。

 本来、安いカップ麺を見つけると、ヤッタ!という気になるものだが、頑張ってカネ取って138円かよ、3個買わす気か!・・・などと不謹慎なことを思ったりする。

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マルちゃん 「赤いきつね」


≪#2:【スーパー】 ライフ≫

 幸先が悪いが、頑張って次の店。こちらも庶民派スーパー 「ライフ」 だ。

 一部上場の100億円企業なので、さぞかし高額なカップ麺が買えるかと思いきや、現状はなかなか厳しく、「ねぎみその逸品」 198円が上限だった。

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ニュータッチ 「ねぎみその逸品」

≪#3:【スーパー】 京王ストア≫

 3軒目もスーパー 「京王ストア」 。関東以外の人には馴染みが薄いだろうが、まさに平均的なスーパーといった感じだ。

 早速探し始めるが、この店舗だけなのだろうか、ラーメンコーナーがなかなか見つからない。
 と思って脇を見ると、あった。何と 「138円均一コーナー」 にのみ、置かれている。

 とりあえず代表として、「キムチラーメン」 138円を最高額とする。

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ニュータッチ 「キムチラーメン」

≪#4:【コンビニ】 セブンイレブン≫

 何かスーパーは安すぎて話にならないので、視点を変更、コンビニへ。

 まずは代表格の 「セブンイレブン」 だ。
 カップ麺コーナーはさすがコンビニといった感じで、充実している。また200円前後の商品が目立ち、先程よりは割高感があり、期待がもてる。

 そして店内で一番高かったのがこの 「山頭火・旭川とんこつ塩味」 258円。有名ラーメン店 「山頭火」 のプロデュース商品とあって、なかなかの値段だ。

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日清 「山頭火・旭川とんこつ塩味」


≪#5:【コンビニ】 ローソン≫

 次は 「ローソン」 。

 こちらはセブンイレブンを越えた。
 それは 「どこってり・濃厚豚骨」 で、285円

 もう少しで300円オーバーだ、頑張れ。

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日清 「どこってり・濃厚豚骨」


≪#6:【コンビニ】 ファミリーマート≫

 さらに 「ファミリーマート」 へ。

 「白胡麻坦々麺」 が260円の最高額で、ローソンほどでないが、健闘している。

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エースコック 「白胡麻坦々麺」

≪#7:【コンビニ】 サンクス≫

 そして遂に 「サンクス」 がコンビニ最高額を達成してくれた。

 「山嵐・背脂とんこつ」 298円

 これも有名店のラーメンだが、背脂が値段を上乗せしたか?

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サークルKサンクス PB 「山嵐・背脂とんこつ」


≪#8:【コンビニ】 am.pm≫

  「am.pm」 も健闘するも、「行列のできる店のラーメン・久留米釜炊きトロ豚骨」 の284円止まり。

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日清 「行列のできる店のラーメン・久留米釜炊きトロ豚骨」



≪#9:【コンビニ】 ミニストップ≫

  「ミニストップ」 では、「大砲ラーメン」 が262円で最高値。

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明星食品 「大砲ラーメン」

≪#10:【コンビニ】 デイリーヤマザキ≫

 ここは 「W豚」 がコンビニ最高額タイの298円

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マルちゃん 「W豚」


≪#11:【ブランド・オブ・庶民】 ドン・キホーテ≫

 コンビニは客層の割には値段が高くて強気だが、極端には店舗を大きくできないので、結局のところ、置ける種類も限られる。

 スーパー以外の庶民向けで大きい店となると、あとは 「ドン・キホーテ」 くらいか。

 ドン・キホーテ。・・・ルイ・ヴィトンのような響きだが、紛れもなく庶民ブランドだ。
 またこの規模なら、庶民がたまに贅沢する用の割高麺が売っているかも・・・。

 すると 「GooTa」(具多) なる明らかに高いカップ麺が。だが残念、278円だった。

 「GooTa」(具多)シリーズは、定価販売だと305円くらいは行き、かなりの高位にランクインも可能だっただろうから、極めて惜しい。

 ここはどうにも、“安売りしたがるブランド” のようだ。

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日清 「GooTa・八宝あんかけ麺」

≪#12:【輸入食品店】 台湾物産館≫

 どうにも埒があかないので、趣向を変えて輸入食品店へ。
 ここなら輸入コストなどもかかるから、今までで最高額のカップ麺がゲットできるかも知れない。そう考えると自然と胸が高鳴る。

 早速、台湾の物産を売る店を発見、すぐにカップ麺も見つけた。

 だがこれはどういうことか、最高額でたったの168円。2杯食わせて3杯目を半分捨てさす気か?

 輸入コスト込みでこの低価格とは、至極残念だ。(燃油はどうした燃油は!)

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康師伝 「紅焼牛肉麺」


≪#13:【やや高級スーパー?】 クイーンズ伊勢丹≫

 やはりちょっとだけリッチな庶民 (何のことだか・・・) のための店に行かないとダメなのだろうか。

 ということで、名前からも分かるようにやや高級なスーパー、クイーンズ伊勢丹へ。
 店の規模もそこそこ広く、カップ麺も結構あった。

 だが最高額は 「行列のできる店のラーメン・和歌山トロ豚骨しょうゆ」 の284円

 コンビニにすら勝てなかった。

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日清 「行列のできる店のラーメン・和歌山トロ豚骨しょうゆ」


≪#14:【明らかに高級スーパー】 成城石井(本店)≫

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成城石井・外観。

 となると更にグレードアップするしかない。もはや庶民レベルといえるかどうか分からないが、「成城石井」(本店) へ。

 ここはさすが高級住宅地付近にあるだけあって、置いている商品が目新しすぎて、高いのか安いのかすらわからない。
 とにかく客層はグンと上がり、どこかしこと高級感を漂わせてくる。

 とりあえず陳列棚をグルッと1周してみたが、カップ麺が見つからない。
 でもこの客層内で、「カップ麺ありますか?」 などと店員に聞けるものだろうか。それは相当恥ずかしいと思う。

 しかし聞かない限りはないとは断定できない。それが調査といえるのか。またここまで来た甲斐もあるのか。
 やはりここは勇気をふりしぼってコッソリ小声で聞いてみよう。周囲の客に聞き取れないように・・・。

 丁度年配の物静かそうな男性店員が通りかかったので、聞いた。

 するとこの店員、「あ、カップ麺ですね。ええ、カップ麺は・・・」 とまあこれが何ともよく通る声で!

 恥ずかしい、何人かには聞こえたはず・・・顔面が紅潮してくる。
 そこで 「やっぱり自分でさがしますから」 、と言おうとした矢先、そこに女性店員が通りかかる。

 「あ、この方をカップのコーナーまで案内してあげて」 とまたよく通る声で! もう周辺のセレブは自分に大注目。

 それに呼応して・・・というか当然の業務として、「カップ麺ですね、こちらです!」 と女性店員。 「やめてー!!」 と自分は心の中で叫ぶ。
 穴に入る代わりに、自分はただ市場調査をしてるだけで・・・と顔に書ければ、どんなに楽だったろうか。

 周囲の視線を浴び、真っ赤になりながら店員の後ろを付いていくと、これまた絶望的なまでに見えづらいところにカップ麺が置いてあった。

 実にありきたりな商品がたった3種類、一番高かったのが 「日清シーフードヌードル」 、178円 (なぜか10円高い気が・・・) だった。
 ここまでくると値段の高い安いなどどうでもいい関心事で、とりあえずカップ麺も目立たぬところに置いてやるといった感じで、カップ麺はやはり庶民の食い物なんだ、と否応なく認識させられる。

 もちろん買った。 だがそれは高級レトルトご飯 (1個で250円) と共にだ!

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日清 「シーフードヌードル」 、それから・・・。

≪ついに日が暮れた・・・≫

 結局ムチャクチャ回るも400円のカップ麺など、見つからなかった。疲れた。
 やっぱり無駄な努力だったのだろうか。

 そう思おうとした時、ふと 「銀座にでも行かなきゃ無いんじゃね?」 という庶民の声を思い出した。


≪日を改め、銀座へ!≫

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左:三越本店、右:松屋本店。

 さて、日を改めて 「銀座」 へ! ここの高級百貨店ならひょっとしたら高額カップ麺が見つかるかも、という淡い期待があってのことだ。
 もうここまでくると、庶民か否かなど、もうどうでもいい。

 もちろん、こんなことのために連休を潰すとは・・・という恨み節もなかったわけではないが、ここまでくると行けるところまで行ってみるしかない。

 ちなみに銀座は、かつて編集者時代に1、2度訪れたくらいで、しかもこんな一等地にまで足を踏み入れたのは初めてだ。
 情けない話だが、自分のいるべき場所でない気がする。

 しかし行くしかないので、早速、超高級百貨店 「三越本店」 地下食品売り場へ。

 入った瞬間、ある種の拒絶反応が出てしまう。客層が違いすぎるからで、恥ずかしいことだがしょうがない。成城石井をセレブの店と昨日から今日まで呼んでいた自分が冗談に思えるレベルだ。

 さて、カップ麺コーナーは・・・明らかになかった。今度は分かりやすく、そんな雑多なものを置く棚すらないからだ。
 仮に 「カップ麺ありますか?」 なぞ聞いても不審者として通報されそうだ。

 隣接する 「松屋本店」 も同じだった。
 カップ麺などこの世に存在しないかのごとくだ。

 これだと麻生首相がカップ麺の値段を知らないのもしょうがない気がしてくる。
 いやそれどころか、カップ麺なるものが地球上に存在するのを知っているだけでも評価すべきでは・・・と逆に思えてくる!


≪#15:【高級百貨店】 銀座松坂屋≫

 やはり銀座ではダメか、と諦めようとしたところ、もう1軒高級百貨店があったので、入ってみた。

 「銀座松坂屋」 で、ここは意外にもお手ごろな商品が並んでいた。

 しかし、あったのは198円の 「みそ煮込みうどん」 を頂点とする2品だけ。

 成城石井といい、やはりそんなもんだろうか。
 これは安いというより、“扱いの問題” だ。

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スガキヤ 「みそ煮込みうどん」



≪銀座から歩いて築地へ≫

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築地にある「テリー伊藤」の兄経営の玉子焼き屋。

 ついに銀座をあきらめ、築地へ。
 ちなみに銀座から築地へは歩いていける距離だ。

 なぜ行こうと思ったかといえば、いろんな商品がここに集中する問屋街だからだ。
 実際ここは魚ばかりでなく、野菜や穀物、乾物、コーヒー、麺類の問屋もある。

 ・・・だが歩き回って20分も経たぬうちに、それが失敗だったと悟る。
 いろんな物が手に入るとはいえ、それは “原材料に近いもの” ばかりだ。カップ麺みたいに、加工されまくって最終段階に達したものなど、ある訳なかった。

 非常に無駄な・・・馬鹿なことをした、さっさとあきらめて帰りゃよかったものを。

 そんな感じで自己嫌悪に陥りながら駅方面に歩いていて、交差点近くまで来た時だった、左を見てハッとした。

 何と無いはずのカップ麺が平積みされているではないか!

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これだ!

 それは、「鉄人 陳健一・四川坦々麺」(他もう1種) だった。
 そして値段は347円! これまでで最高額、大幅の更新だ。


≪#16:【鰹節問屋】 伊勢啓≫

 しかも、この高額カップ麺を置いていた店は、全く関係ないはずの “鰹節問屋” だった。
 なぜここで売っているのか謎だったが、とりあえず買うことに。「かなり高いですね」 と店主に振ってみると、その答えから何となくカップ麺のことが分かったような気がした。

 結論からいうとこのカップ麺は、この卸問屋に置くしかなかった 「幻のラーメン」 だったのだ。

 店主の話だと、料理の鉄人・陳健一氏がこのカップ麺をプロデュースするにあたり、原材料を一切妥協しないで作ってしまい、当然のことながら定価も高くなりすぎて、どこにも置いて貰うことが出来なかったのだとか。
 実際陳さんはコンビニに置こうと交渉したんだけど、軒並み断られちゃったんですよ、と店主。

 また一方で店主は、確かに347円は高いです。でも味はカップ麺とは全くの別物です、保証します。実際遠方からケース買いして行くお客さんもいるんですよ、とも。

 なぜ 「幻のカップラーメン」 となったか・・・それはひとえに陳健一の異様なまでの “こだわり” にあったのだ。
 有名ラーメン店がこだわってプロデュースするカップ麺は世に多々あれど、本当に妥協しなかったらこんな風に店に置けなくなるのではと思うと、色々な意味で衝撃的である。(※断定まではしないが)

 はっきりいえるのは、こんなカップ麺を置くとすればこんな卸問屋兼直売店 (流通を通さない小売店) に、347円でやっとこ置くことが出来、もはやイオングループのように自社問屋システムでもない限り、一般小売店にこの値段で置くことは今後も無理だということだ。

 ・・・だがもし、コンビニ等が物凄い冒険をしてこれを置いたとすれば、恐らく1.25掛けの430円は下らないと思われる。

 だとすれば、まさにこれは 「幻の400円ラーメン」 と呼べるのではないか!

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ドリームファミリー・ケン 「鉄人 陳健一・四川坦々麺」


≪補足1:「幻の400円ラーメン」 を食べてみた≫

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なかなか中身は豪華。

 折角なので、この 「鉄人 陳健一・四川坦々麺」 を食べてみよう。

 まず驚かされるのは異様なまでに多いスープや調味料、具材の袋。

 そして味だが、絶妙な甘辛さとコクで、それに噛み応えのある肉味噌がマッチングして実にたまらない。
 四川風としながらも、日本人の舌に合うように辛さを抑えてあり、それが甘みと旨味を同時に引き立たせた形だ。

 しばしカップ麺であることを忘れたくらいの内容だった。


≪補足2:店舗別 高額カップ麺ランキング ―― 全16店≫

     1位: 【鰹節問屋】 築地・伊勢啓・・・・・・・・・・・・・・・・・・347円
     2位: 【コンビニ】 サンクス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・298円
     2位: 【コンビニ】 デイリーヤマザキ ・・・・・・・・・・・・・・・298円
     4位: 【コンビニ】 ローソン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・285円
     5位: 【コンビニ】 am.pm・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・284円
     5位: 【やや高級スーパー?】 クイーンズ伊勢丹・・・・・284円
     7位: 【ブランド・オブ・庶民】 ドン・キホーテ・・・・・・・・・278円
     8位: 【コンビニ】 ミニストップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・262円
     9位: 【コンビニ】 ファミリーマート・・・・・・・・・・・・・・・・・260円
     10位:【コンビニ】 セブンイレブン ・・・・・・・・・・・・・・・・・258円
     11位:【スーパー】 ライフ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・198円
     11位:【高級百貨店】 銀座松坂屋・・・・・・・・・・・・・・・・・198円
     13位:【明らかに高級スーパー】 成城石井(本店) ・・・・178円
     14位:【輸入食品店】 台湾物産館・・・・・・・・・・・・・・・・・168円
     15位:【スーパー】 サミット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・138円
     15位:【スーパー】 京王ストア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・138円



≪最後に・・・≫

 さて、貴重な連休をカップ麺に潰しながら、いろいろ考えたことがあった。

 そしてその最たるものは、上のランキングを見ても分かるとおり、「庶民の中の庶民の店たるコンビニが激しく高くないか?」 ということだった。

 とくにフリーター。彼らの平均月収が10万円ちょっとであることを考えると、こんな高い買い物を頻繁にしていたら、一体貯金は? と、はからずも思ってしまう。

 麻生首相のみが贅沢なのだろうか?


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